先日夜、若い数人の酔っぱらいが高歌放吟して窓の外を通り過ぎた。家飲みの途中、コンビニに買い足しに出掛けたのだろう。「襟裳岬」のサビ、♪襟裳の春は何もない春ですの〝襟裳〟を〝コロナ〟に替えて絶叫していた。青春まっただ中の彼らの心に、いかほどの鬱憤が溜まっているのだろう。
ゴールデンウイークは従兄宅(寺)に宿泊し、母が暮らすシェアハウスに通うのがお約束だった。施設がロックダウンされた今年は帰省を断念し、東京砂漠で息をひそめている。スケジュールは真っ白だが、コスパを重視し、松屋、吉野家、すき家でローテを組んでモーニングセットを食うことだけは決まっている。
サッカー欧州選手権など内外のスポーツイベントは延期もしくは中止になった。将棋名人戦も順延され、NHK杯トーナメントも収録は難しく、当分の間、再放送が続く。無聊を慰めてくれるのはドラマで、「オペレーションZ~日本破滅、待ったなし~」(原作=真山仁、WOWOW/全6回)は現在の状況とリンクする内容だった。
江島首相(草刈正雄)はデフォルト目前の財政を救うため、国家予算半減を実行すべく政策チーム「オペレーションZ」を立ち上げた。弱者切り捨てを看過出来ない厚労省と守旧派議員が〝抵抗勢力〟を形成する。真山といえば「ハゲタカ」だ。ドラマ(NHK)では鷲津(大森南朋)と柴野(柴田恭兵)が利益や理屈で測れない価値で結ばれたが、「オペレーションZ」も同じ構図だ。
政権の座を追われた江島だが、情、絆、和の精神に根差すこと明かし、格差に喘ぐ若年層の支持を得て再度立ち上がる。前々稿で説いた<シェアする精神>は、江島の志向性と遠くないはずだ。「ハゲタカ」に続き、真山ワールドに魂を揺さぶられた。
「中国と闘う風刺アート Badiucao」(BS1、オーストラリア制作)は、中国の本質を抉るドキュメンタリーである。30代のBadiucaoはバンクシーの影響を受けた上海出身の覆面ストリートアーティスト。オーストラリアを拠点に活動する彼の原点は、虐殺が隠蔽された天安門事件だ。
バンクシーはパレスチナに連帯し、イスラエルに抗議する作品を分離壁に掲示するなど、常に弾圧と闘う側に立っている。Badiucaoのターゲットはもちろん中国共産党、習近平主席、人民解放軍だ。ルーブル美術館の「モナリザ」前でパフォーマンスするなど〝芸術テロリスト〟の精神を継承するBadiucaoを、当局が放置するはずはない。
チベット、ウイグル、法輪坊、そして香港……。中国は自由を叫ぶ声を圧殺する<サイバー独裁>国家だ。香港での個展は、親族への脅迫もあり中止を余儀なくされた。ラストで素顔を晒したBadiucaoの勇気に敬意を表したい。
その中国はポスト・コロナ時代、米国を上回る一強になるだろう。ニューヨークをはじめ米各都市が入手困難状態の人工呼吸器を、世界中に輸出する中国……。この好対照は近未来の風景を映している。残念ながら中国の<サイバー独裁>モデルは今、世界を席巻しつつある。
中国がグーグルを遮断した時、「自由への圧力」と世界中で非難された。岸博幸慶大教授(小泉政権で安全保障担当)は「ニュースの深層」に出演した際、「仮面の下に〝皆殺しの発想〟を隠しながら自由を説いている」とグーグルを批判し、中国の締め出しを支持していた。あれから10年、最先端技術を駆使する中国が、自由を侵害する最凶の管理国家になった。
米国は価値観を前面に中国と対峙するしかないが、トランプ大統領では不可能だ。気候変動対策、国民皆保険、学費無料、医療と福祉の充実、格差是正を公約に掲げたサンダースこそポスト・コロナ時代の指導者に相応しいが、〝悪しき相対主義〟に囚われた世論に勝てなかった。バイデンは習近平に太刀打ち出来ない。
国内のニュース番組では、NTTドコモによる人口変動調査のデータが報じられている。思い出したのは20年前、歌舞伎町で監視カメラ導入が決まった際、プライバシー侵害と市民が抗議したことだ。刑事ドラマの影響もあって、〝警察に協力するのは当然〟という意識が広がっている。
<1984年>化を支えているのは集団化だ。SNSを主武器に五人組、隣組の悪しき相互監視の風習が甦っている。コロナの毒は精神をも蝕び、憲法改正を容認する声が広がっている。
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ゴールデンウイークは従兄宅(寺)に宿泊し、母が暮らすシェアハウスに通うのがお約束だった。施設がロックダウンされた今年は帰省を断念し、東京砂漠で息をひそめている。スケジュールは真っ白だが、コスパを重視し、松屋、吉野家、すき家でローテを組んでモーニングセットを食うことだけは決まっている。
サッカー欧州選手権など内外のスポーツイベントは延期もしくは中止になった。将棋名人戦も順延され、NHK杯トーナメントも収録は難しく、当分の間、再放送が続く。無聊を慰めてくれるのはドラマで、「オペレーションZ~日本破滅、待ったなし~」(原作=真山仁、WOWOW/全6回)は現在の状況とリンクする内容だった。
江島首相(草刈正雄)はデフォルト目前の財政を救うため、国家予算半減を実行すべく政策チーム「オペレーションZ」を立ち上げた。弱者切り捨てを看過出来ない厚労省と守旧派議員が〝抵抗勢力〟を形成する。真山といえば「ハゲタカ」だ。ドラマ(NHK)では鷲津(大森南朋)と柴野(柴田恭兵)が利益や理屈で測れない価値で結ばれたが、「オペレーションZ」も同じ構図だ。
政権の座を追われた江島だが、情、絆、和の精神に根差すこと明かし、格差に喘ぐ若年層の支持を得て再度立ち上がる。前々稿で説いた<シェアする精神>は、江島の志向性と遠くないはずだ。「ハゲタカ」に続き、真山ワールドに魂を揺さぶられた。
「中国と闘う風刺アート Badiucao」(BS1、オーストラリア制作)は、中国の本質を抉るドキュメンタリーである。30代のBadiucaoはバンクシーの影響を受けた上海出身の覆面ストリートアーティスト。オーストラリアを拠点に活動する彼の原点は、虐殺が隠蔽された天安門事件だ。
バンクシーはパレスチナに連帯し、イスラエルに抗議する作品を分離壁に掲示するなど、常に弾圧と闘う側に立っている。Badiucaoのターゲットはもちろん中国共産党、習近平主席、人民解放軍だ。ルーブル美術館の「モナリザ」前でパフォーマンスするなど〝芸術テロリスト〟の精神を継承するBadiucaoを、当局が放置するはずはない。
チベット、ウイグル、法輪坊、そして香港……。中国は自由を叫ぶ声を圧殺する<サイバー独裁>国家だ。香港での個展は、親族への脅迫もあり中止を余儀なくされた。ラストで素顔を晒したBadiucaoの勇気に敬意を表したい。
その中国はポスト・コロナ時代、米国を上回る一強になるだろう。ニューヨークをはじめ米各都市が入手困難状態の人工呼吸器を、世界中に輸出する中国……。この好対照は近未来の風景を映している。残念ながら中国の<サイバー独裁>モデルは今、世界を席巻しつつある。
中国がグーグルを遮断した時、「自由への圧力」と世界中で非難された。岸博幸慶大教授(小泉政権で安全保障担当)は「ニュースの深層」に出演した際、「仮面の下に〝皆殺しの発想〟を隠しながら自由を説いている」とグーグルを批判し、中国の締め出しを支持していた。あれから10年、最先端技術を駆使する中国が、自由を侵害する最凶の管理国家になった。
米国は価値観を前面に中国と対峙するしかないが、トランプ大統領では不可能だ。気候変動対策、国民皆保険、学費無料、医療と福祉の充実、格差是正を公約に掲げたサンダースこそポスト・コロナ時代の指導者に相応しいが、〝悪しき相対主義〟に囚われた世論に勝てなかった。バイデンは習近平に太刀打ち出来ない。
国内のニュース番組では、NTTドコモによる人口変動調査のデータが報じられている。思い出したのは20年前、歌舞伎町で監視カメラ導入が決まった際、プライバシー侵害と市民が抗議したことだ。刑事ドラマの影響もあって、〝警察に協力するのは当然〟という意識が広がっている。
<1984年>化を支えているのは集団化だ。SNSを主武器に五人組、隣組の悪しき相互監視の風習が甦っている。コロナの毒は精神をも蝕び、憲法改正を容認する声が広がっている。
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