松尾睦のブログです。書籍、映画ならびに聖書の言葉などについて書いています。
ラーニング・ラボ
『現代という時代の気質』(読書メモ)
エリック・ホッファー(柄谷行人訳)『現代という時代の気質』ちくま学芸文庫
「沖仲士の哲学者」エリック・ホッファーのエッセイ。
本書が発行されたのは1967年だが、彼のメッセージは現在の社会情勢にも通ずる。
ホッファーによれば、我々の時代の特徴は「少年化」「幼児化」であり、それを促しているのが、エリート層である知識人である。
「あらゆる指導者は彼らに従う者たちを子供に変えようと努力する」(p. 14)
「全国民の幼児化こそ、知識人の権力掌握のもたらす最も致命的な結果のひとつなのである」(p. 91)
「知識人が支配する社会は、動物園に似る傾向がある」(p.121)
たしかに、世界各地で人々の「幼児化」が進んでいるように思う。
本書を読み印象に残ったもう一つの点は、われわれ「個人の中にある自然」との向き合い方。
「自然はつねにわれわれの周囲、われわれの内部にあって、しようと思えばいつでもわれわれを矯正し、人間が加工し、成就してきたものすべてを一掃できるのだ。人間の生の主要な目的は、いまなお人間になり人間でありつづけること、そして自然の侵害から人間の業績のかずかずを守ることである」(p. 108)
ここでいう「内部の自然」とは「欲望や恐怖」であり、人間であり続けるためには、われわれは内部の自然と戦わなければならないのだ。
「内部の自然」はフロイトの「リビドー」のようなものであり、幼児化のはなしもエーリッヒ・フロムの主張と似ている。
ホッファーの考え方は、かなり精神分析的だな、と思った。
「沖仲士の哲学者」エリック・ホッファーのエッセイ。
本書が発行されたのは1967年だが、彼のメッセージは現在の社会情勢にも通ずる。
ホッファーによれば、我々の時代の特徴は「少年化」「幼児化」であり、それを促しているのが、エリート層である知識人である。
「あらゆる指導者は彼らに従う者たちを子供に変えようと努力する」(p. 14)
「全国民の幼児化こそ、知識人の権力掌握のもたらす最も致命的な結果のひとつなのである」(p. 91)
「知識人が支配する社会は、動物園に似る傾向がある」(p.121)
たしかに、世界各地で人々の「幼児化」が進んでいるように思う。
本書を読み印象に残ったもう一つの点は、われわれ「個人の中にある自然」との向き合い方。
「自然はつねにわれわれの周囲、われわれの内部にあって、しようと思えばいつでもわれわれを矯正し、人間が加工し、成就してきたものすべてを一掃できるのだ。人間の生の主要な目的は、いまなお人間になり人間でありつづけること、そして自然の侵害から人間の業績のかずかずを守ることである」(p. 108)
ここでいう「内部の自然」とは「欲望や恐怖」であり、人間であり続けるためには、われわれは内部の自然と戦わなければならないのだ。
「内部の自然」はフロイトの「リビドー」のようなものであり、幼児化のはなしもエーリッヒ・フロムの主張と似ている。
ホッファーの考え方は、かなり精神分析的だな、と思った。
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