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『狭き門』(読書メモ)

アンドレ・ジッド(中条省平・中条志穂訳)『狭き門』光文社

ジッドの実体験をベースに書かれた代表作である。

いとこ同士のジェロームとアリサは、小さいころから愛しあっているのだが、なかなか結ばれない。主にアリサの煮え切らない態度のためだが、その理由は最後に明かされる。

前半はやや退屈であるが、後半に入ると、ジッドの世界に引きずり込まれた。特に、ラスト部分の「アリサの日記」は圧巻である。

頭の中で作り上げる愛と、心で感じる愛。これら二つに挟まれながら揺れるアリサの気持ちが伝わってくる。

それもそのはず。解説によれば、ジッドは、アリサのモデルである奥さんの日記をかなり拝借していたらしい。

芸術のためには何でも利用してしまう「作家根性」に驚かされた。






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