<’16京都市長選>門川さん、盤石3選 対共産で団結発揮 本田さん、支持広がらず /京都(毎日新聞)
7日投開票の京都市長選は無所属現職の門川大作さん(65)=自民、民主、公明、社民府連推薦=が、共に無所属新人で元市教組執行委員長の本田久美子さん(66)=共産推薦、元府議の三上隆さん(85)を破り、3選を果たした。門川さんは行財政改革や経済活性化を訴え、保守層を中心に手堅く票をまとめた。本田さんは安全保障関連法反対などを主張したが、浸透しきれなかった。投票率は前回(36・77%)を下回る35・68%で、過去4番目の低さだった。当日有権者数は114万1060人(男53万2880人、女60万8180人)。【土本匡孝、村田拓也、鈴木理之、礒野健一】
京都市中京区のホテルには、開票前から門川さんの支援者が詰めかけ、吉報を待った。「当選確実」の知らせが午後8時すぎに入ると、会場は歓声と拍手に包まれた。
門川さんが会場に現れると、選挙母体「未来の京都をつくる会」会長の立石義雄・京都商工会議所会頭や選対事務長の寺田一博・自民党府連幹事長らが笑顔で迎えた。立石氏は「これから全力を挙げて3期目を務めてもらいたい。全力で支えていきたい」などと激励した。
(中略)
「共産市政にしない」との旗印の下、自民、民主、公明の市議、府議らが昨年12月、議員連盟を結成。3党の国会議員や落選中の政治家も動員し、「国政選挙並の選挙」を展開した。府市長会・町村会の25首長と山田啓二知事の連名での推薦も受け、山田知事は随所で応援演説に入った。
とかくネット上で声高に政治を語る人ほど国政にしか目が向いていないと言いますか、地方議会には関心以前に知識がない傾向が強いように思います。自分が住んでいる自治体で政治的な取り組みに関与している人と、純粋にネット上で天下国家を語って悦に入っているだけの人とでは色々と温度差もあるのではないでしょうか。まぁ、後者だって一応は有権者ですから、政治家も後者に向けたメッセージを発信し、媚びることだってあるわけです。それもまた、現在の社会及び政治の在り方を形成しているような気がしますね。
維新の党は民主党と組むかどうかで意見の隔たりが大きく党の分裂の決定的要因となりましたが、他の政党の場合はどうなのでしょう。維新のようにアマチュア色が強く政治家経験に乏しい人の集まりと、自民党のように職業としての政治家経験が長い、家業としての政治家意識が染みついた人々の多い党とでは、「割れ方」にも違いがあるのかも知れません。たとえば大阪では自民党は維新の会と対立する間柄ですが、一方で政府自民党は大阪維新の会に接近する構えを見せています。民主との距離を巡って分裂した維新のように、今度は維新との関係を巡って「大阪自民の会」みたいな分派ができる――ということは考えにくいですから。
では民主党は、どうなのでしょう。自民党に対抗するとの口実の元、野党の結集を呼びかけている一方で「共産党とだけは組まない」と宣言する議員もいます。ネット上の民主党支持層からは、そのような態度を批判的に語る人も多いようですが、むしろ嘘偽りのない議員でもあるのかな、と私などは思うところです。民主党が一貫して対立してきたのは共産党であって、自民党ではないのですから。民主と維新のように政策面で似通う政党が組むのは理解できる、あるいは民主と自民のように地方議会では既に連立しているところが組むのも理解できます。しかし、一貫して対立してきた民主と共産が組むのは、見境のない野合でしかありませんよね?
冒頭に引用したのは京都での選挙ですが、「国政選挙以外では」珍しい構図ではありません。自民党と民主党がともに手を携えて首長を支え、野党・共産党と対決する、それが地方自治体の議会における「普通」です。ネット上の論客が目を背けている現実として、民主党は自民党の対立軸でも何でもなかった、むしろ補完勢力であり続けてきたわけです。確かに地方議会でも選挙になれば、民主党は「野党でござい」と看板を掛け替え「与党への批判票は民主党に入れてください」と訴えるものなのかも知れません。こうした虚構の野党の存在は選挙における民意の反映を妨げるものと言えますが――地方議会でのことなんて気にしない人の方が多いのでしょう。
プロ野球になぞらえるのなら、自民と民主の関係は、読売と阪神のそれのようなものです。つまりライバルを演じつつも実際はプロレスのパートナーでしかありません。一方で民主と共産の間柄は、阪神と阪急みたいなものと言えます。本当に対立しているのはどこなのか、表向きは対立しているように見えて共存共栄の関係にあるのはどこなのか、そこは多少なりとも意識されるべきでしょう。少なくとも私に言わせれば、自民党に反対という理由で民主党に投票するなんてのは、望んで自分の目をふさいでフィクションの中に逃げ込む行為です。
民主が共産に追い越される日も近いかもしれませんね。民主を支えている中間層が縮小の一途ですから。