総勢10名のでんぱ組.incが生まれるまで──もふくちゃん、YGQ、Yumiko先生インタヴュー
新メンバー5名が加入し10人組になったでんぱ組.inc。新体制に至るまでの本音と模索をもふくちゃん、YGQ、Yumiko先生のプロデューサー陣に伺いました!
4月23日配信リリース!
「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」
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INTERVIEW : もふくちゃん、YGQ、Yumiko先生
でんぱ組.incが2021年2月15日、16日に開催した〈ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜〉は、「えいたそ」こと成瀬瑛美の卒業公演であると同時に、16日は新体制のでんぱ組.incのお披露目でもあった。愛川こずえ・小鳩りあ(元ENGAG.ING)、天沢璃人(RITO/meme tokyo.)、高咲陽菜(虹のファンタジスタを3月1日に卒業)、空野青空(ARCANA PROJECT)という5人の新メンバーを加えて、過去最大の10人体制となったでんぱ組.inc。今回は、プロデューサー陣として名を連ねるもふくちゃん(福嶋麻衣子)、YGQ、Yumiko先生に、新メンバー選抜の経緯とその意図、そして今後のでんぱ組.incがどんな変化を遂げようとしているのかを聞いた。「ディアステージのアベンジャーズ」というキーワードの真意とは……?
インタヴュー : 宗像明将
新メンバーの発表までが1セット
──えいたそ卒業公演、そして新体制お披露目公演の感想はいかがでしたか?
YGQ : えいたそと一緒に準備を進めて、満を辞しての卒業だったので、そこまでのドタバタ感はなくて。とはいえ、僕はまだ正直現実味がないというか。えいたそが抜けたでんぱ組.incを、頭ではわかっていたんですけど、まだちょっとあの一晩が夢だったような、実感が湧いていない感じはあります。
もふくちゃん : 準備をみんなですごい苦労してやったぶん、私もYumikoも当日泣きそうになっていて(笑)。
Yumiko : 「もういやだよ〜!」って(笑)
もふくちゃん : ボイコットしそうになっていたくらいだけど、今終わってすごいホッとしている。スッキリした。
──えいたその卒業公演を、やはりやりたくない気持ちもあったんですか?
もふくちゃん : 複雑だよね。でも事務所から出るわけでもなく、これからも一緒だし。そういう意味だと、決まったからには早くいい形で巣立ってほしい気持ちもあったよね、Yumiko先生と私は。
Yumiko : そうだね。でも、いちばんいい卒業の日を迎えるために私たちも模索しながらで、確信があって進んでいたわけではなかったので。そういう意味で緊張感や期待や不安、自信も混ざった状態だった。えいちゃん自身のやりたいことをどのように具現化するかとか、お客さんにちゃんと伝えようとか、そういう細かいところを1からずっと積みあげていった結果、新メンバーの発表までが1セットになって。どういう感情で挑んだらいいかわからなくなって。
もふくちゃん : 今回はYumiko先生が最後の最後まで、えいたその卒業と新メンバー入りのバランスに気を使っていた。Yumiko先生が「あくまでもこれはえいたその卒業式だから。それがメインにならないとお客さんが悲しむから」って、えいたそが主役になるようにずっと考えていて。前日の夜に急に1曲増やしたり、ミリ単位の調整をして、最終的にどっちもよく見えたなって。
──新体制のお披露目があって、その後にまたえいたそが出てくるというすごい構成でしたよね。それも前日夜までチューニングした結果だったんですか?
もふくちゃん : 前日夜、Yumiko先生が最後の最後までセトリが気になる、ここをこうしよう、ああしよう、曲は何がいいか、と足掻いて。それにスタッフのみなさんも快く協力してくださったし、メンバーもすぐ対応してくれたので実践できてとても良かったです。
──新メンバーが5人も入るとはファンも想像してなかったと思うんですよ。10人体制のステージはいかがでしたか?
Yumiko : メンバー含めたチーム全員のなかで、私だけが画が見えているような状態で進んでいた気がします。新メンバーの選出の段階からコンセプトを組み立てていたので。個人的には思った通りになった気がします。
もふくちゃん : 水野さん(でんぱ組.incディレクター)が最初リハで見た時に、急に「えっ!? めっちゃいいんですけど」って言ったのをすごい覚えている。Yumiko先生の振り付けを見ていると、誰がどういうストーリーを抱えた子なのか、スッとそこでやっと理解できる。
Yumiko : 振りわけかな?
もふくちゃん : うん。すごくお客さんにも伝わったんじゃないかな。新曲の歌割りも、ヒャダインさん(前山田健一)の歌詞がすごく意識してくださっているので、それをベースにしつつ、振りいれはみんなのヒストリー、キャラクターをすごく意識していて。それがお客さんにも伝わったような。その後の「Future Diver」も、今までと全く違う、「今後こういう風に進んでいくんだろうな」って見えるパフォーマンスになったと思います。
YGQ : アイドルグループにおいての卒業や加入ってけっこうセンシティブじゃないですか。下手したらそれですごくファンが離れる危険性を孕んでいる。ねもぺろ(鹿目凛、根本凪)の時もそうですけど、今回5人入って、波風を立たせながらも「でんぱ組.incをやっていくんだ」という決意表明のタイミングだと思っています。
もふくちゃん : 本当はそもそも、解散しようって言っていたんだよね(笑)。
──え、そうなんですか?
Yumiko : 解散するのか、続けるのか、という話は年単位で重ねた気がする。
YGQ : 最終的に「いろいろシミューレションした所、これはもう解散しかないよね。みんながハッピーになるのはもうない」って。
もふくちゃん : それでメンバーに「すみません。解散という運びになりました」って言ったら「絶対やだ!」って言われたんだよね。
──それはいつ頃ですか?
YGQ : 2019年の秋くらいかな? メンバーを全員集めて面談したり。
もふくちゃん : 意外とみんな引きさがらなくて。「解散したくない! 続けたい」みたいな。みりんちゃん(古川未鈴)は具体的に「新メンバーをいれたい」って言って。
Yumiko : とにかくそれも視野に含めて、でんぱ組をどういう風に残していくか考えていきたい、って。
ディアステージのアベンジャーズとして
──解散する流れだったのが、新体制になって決意表明をしたわけですね。そこまで変わったのはなぜなんですか?
もふくちゃん : 全員、叩かれても人気がなくなっても何があっても、やっていくんだと腹をくくったということなのかな(笑)。
Yumiko : 世代交代をするのか否かというより、「でんぱ組ってどういうグループなのか?」というのを今一度考えて。当初のコンセプトは、登場人物が揃って初めて完成するユートピアの表現だったように思うんですね。あれから時代が変わって、現代って、コミュニティーの意識というより、「個」という考え方が強くなっているように思っていて。それならそれぞれの世界の中で生きている「個」の集合体を新しく作ったらどうなのかな、と考えた。それで「ディアステージのアベンジャーズ」って言葉が私たちの中に出てきて(笑)。別の世界線で生きている子たちが集まっている構造。
もふくちゃん : ひとりずつが別の世界を背負っている。
Yumiko : でんぱ組.incというコミュニティー前提、というところからは考え方が変わったかな。
YGQ : でんぱ組ってすごい異質で、他のリファレンスがない例だと思うんですね。結婚しても続ける方はNegiccoさんとかもいらっしゃいますけど、Negiccoさんはあの3人でずっとやっていらっしゃいますし。でんぱ組ならではの特殊な細胞の変化みたいなものが、さっき言っていた「ディアステージのアベンジャーズ」。まだ誰も踏んでいない未開拓の地をまた歩き始めたような感覚です。
Yumiko : ずっと目の前にある材料で料理してきたんですよね。「こういう風に料理をするからこういう材料が欲しい」という考え方ではなくて、「こういう材料があるからどういう風に料理しようかな?」って。それがたまたまその5人、その6人だった、というスタートで。メンバーで構成されるコミュニティーを描いていたのが、個の集合体を描く方向に料理方法が変わったみたいな。とは言え、いつの時代もその瞬間に一緒にいるメンバーの個性はすごく大事にしたいと思っています。
──いつ頃から新メンバーを選考していたんですか?
もふくちゃん : 2019年末くらいから初めて考えだしたのかな。
Yumiko : 実際に決めるとなったのは去年の夏くらい?
もふくちゃん : う〜ん、ざっくりとはそれくらいかね。まだ構想段階くらい。いちばん最初に候補にあがったのは、たぶんひなちゃん(高咲陽菜)。
Yumiko : ひなちゃんは、レッスンでもとても聡明で、私の独特で抽象的な説明や言葉をすごく拾うんですよね。でんぱって、私が何を描いていきたいかを汲み取れる能力がないと成り立たない作品だと思っていて、ひなちゃんはそれをすごく汲み取ってくれる。それで、もふくちゃんと「いつか、もしかしたらそういう道があるのかもね」ってかなり早い段階から話していて。
もふくちゃん : 理解力がすごかったよね。でんぱって、ただ言われたことをやっているだけじゃダメで。翻訳レベルが高くて、自分自身で答えを持っていて、一本一本ちゃんと打ち返せる理解力のある子じゃないとけっこうきつい。今後でんぱを長く続けていくと決めたなら、そういう意味で年齢的にも若くて賢いひなちゃんがすごく大事な要素だった。
──次に決まったメンバーは誰だったんですか?
Yumiko : りあこず(小鳩りあ・愛川こずえ)かな?
もふくちゃん : うん。
──Yumiko先生が手塩にかけて育てたENGAG.INGの元メンバーですが、そこからふたり採るのは大胆ですよね。
Yumiko : そうですね。ENGAG.INGの解散を発表する前から名前は挙がっていましたね。本人たちに伝えたのは解散後。こずえちゃんはキャリアも特殊で、でんぱ組発足当時からみりんちゃんとも繋がりがあって「一緒になったらすごくおもしろいかもしれない」と思ったのがきっかけ。技術的にも確かなものを持っているし、私の言語が通じる翻訳者でもあるので、すごく強かった。りあちゃんは店舗のDNAを強く持つという意味で特別でした。翻訳能力に加えて高い歌唱能力やヒロイン性があるので、是非、ってなりました。
もふくちゃん : でも、そのふたりが決定したのはけっこうギリギリだった気がする。そもそもENGAG.INGの解散もコロナの流行後に決まったし、でんぱとは最初兼任というイメージだった。
──空野青空さんが決まったのはどこのタイミングで?
もふくちゃん : その次ですね。会議室で未来のでんぱ組について話していて。「ひな、りあ、こず」って書いていて「これだと暗いよ」ってなって(笑)。楽屋の雰囲気とか、えいたそが抜けた後をイメージしたらどうやっても明るくない。でんぱの明るい要素がゼロになって(笑)。その時に、Yumiko先生が、「あおにゃん(空野青空)がえいたその明るさに匹敵するんじゃない?」って言い出して。ARCANA PROJECTの振り付けも担当していたから本人のキャラクターもよく理解してくれていたので。
Yumiko : 誰が明るい空気を持ってきてくれる人かって考えた時、ポンって出てきたのがあおにゃんだった。それまでは名前が挙がっていなかったよね。
もふくちゃん : なかった。てか、あおにゃんに兼任させるのは難しいんじゃないかとどこかで思っちゃっていて。でも、パーソナリティーとしては最高だと思ったので。
Yumiko : 会議をしていくなかでアベンジャーズの話が出ていたので、なんとなくENGAG.INGでも兼任の話になっていたけど、ARCANA PROJECTだと活動の規模が大きいので兼任はハードル高いかな、と思っていて。でも、ディアステージのアベンジャーズとしてやっていくと考えた時に、彼女しかいないんじゃないかみたいな話になりましたね。
──そうなると、最後のピースが天沢璃人さん。
もふくちゃん : りとはいろいろあったの。いちばん初めは、Yumiko先生以外の全員、「りとがいい」って言ったのをすごい覚えてる(笑)。でも、一度Yumiko先生からNOが出て。やっぱりレッスンでいちばん近くにいるYumiko先生がパーソナリティーも含めてわかっているから、「あぁそうなんだ、先生がNOならNOか。りとは難しいんだ」って一回引いたんですよ。その後、簡単に言うと、りとがけっこう変わったんだよね。
Yumiko : 私もいいと思ってましたよ! 最初はmeme tokyo.の活動を通していろんな相談を聞いたり、ステージングに限らず幅広く指導をする中で「うーん……。特殊能力が求められるでんぱ組としては、まだ難しいかな」って思っていたんですけど、その後の吸収するスピードは抜群に魅力的で。今なら大丈夫! 彼女がいい! って最後の最後に。本当にすみません、私のせいでとまっていた、りと案(笑)。
もふくちゃん : もともと先生とは、スター性がある子がほしいっていう話はしていて。スター性という言葉ってすごく曖昧な言葉だけど、でも、何かあると思っていて。例えばもがちゃん(最上もが)ってすごくスター性がある子だったと思うんですよ。最初から歌やダンスがめちゃくちゃできたわけではないし、でも何かわからないけど、スター性が最初からあった。「ステージに立った時になんか目で追ってしまう、気になる、なんだろう、っていうスター性のある子が欲しい、最後のピースはそれだ」って話をしていて。それが今、ディアステージの中で見渡して最もふさわしいのは、ポテンシャルも含めてりとくんだという話になって。
Yumiko : 長い目で見て一緒のチームで走っていくと考えた時に、お互いに信頼できる人でないといけない。それとスター性とを併せ持った最後のピース。本当にいちばん最後の最後に、りとが目覚しい成長を遂げたことによって「あっ、これだ!」ってなりました。
今回の変化はものすごくウェルカム
──ドラマチックな展開ですね。お披露目では、ヒャダインさん作詞作曲の新曲「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」が披露されましたね。聞いた話だと、御三方のイメージする世界観をヒャダインさんに投げてうまれたそうですね。「王子様に幸せにしてもらうんじゃない、夢は自分でつかみ取らなきゃいけない」というテーマで、「でんぱに入って浮かれていられないぞ」というメッセージですよね。あの曲はどういうコンセプトやイメージなんですか?
もふくちゃん : まず、どういう曲調がいいかという会議があって。映画を見ていて。
YGQ : 僕の好きな映画の「グレイテスト・ショーマン」って、でんぱ組だなって思って。アメリカのサーカス団、見世物小屋の映画なんですけど、世間では生きるのがつらいような、特殊な生態系を持った人たちを集めて、サーカス団をやるという物語で。
もふくちゃん : 要はマイナスからのスタート。
YGQ : そうですね。マイナス・ポイントを持っているけどそれをプラスにして、それを一団としてエンタメにすると輝けるみたいな。でんぱはその世界観に近いと思って。「グレイテスト・ショーマン」みたいな壮大なオーケストラもいいなって話になって。あとはディズニーの作品の世界観を広げたり。ディズニーって、昔と今とメッセージ性が違っていて、昔は王子様が迎えにきてくれて、って感じだけど、最近は違う。「プリンセスは自分の力で自分の未来を切り拓いていく」みたいな世界観で、世の中全体がジェンダーに対しての考え方が変わってきている。それもちょうどでんぱの目指すものに近いなって、そこら辺をヒントに曲のイメージを膨らませました。
もふくちゃん : 大げさなミュージカル観だったり、比較的クラシックな見せ方の曲というか。Yumikoが「私はもうクラシックしかやりたくない!」って言い出して(笑)。その話をヒャダインさんにして。
YGQ : ポイントだけいくつかね。
もふくちゃん : 「こういうメンバーが入る」という資料をお渡ししたんです。外には出せないような、リアルなプロフィールを(笑)。それでヒャダインさんから返ってきたのがあれだったんですね。「王子様がどうの」とか「それを現代風にしてくれ」とか、実はそこまでうちらからは言っていなくて、あれはヒャダインさんからのメッセージ。
Yumiko : 本当に素晴らしい。
もふくちゃん : ありがとう、汲んでくれて!
──10人組になると、Yumiko先生の振付も大変じゃないですか?
Yumiko : でも、「ディズニーやりたい!」って言ってそうしてもらえたので、もう満足(笑)。今回はメンバーの選出から、楽曲制作、レコーディングまで全てに関わっていて、曲が出来あがってから「はい、これで振り付けをしてください」ではなかったので、難しい感じはなかったです。細心の注意を払ったのは、10人のパーソナリティーの見せ方や魅力的な見せ方。
──お披露目をやって、ファンの反応をどう受け取りましたか?
もふくちゃん : 正直、思っていたより肯定的なんだな、って。私は数字を今回すごく見ていて。結果を見てみるとめちゃくちゃ女子が増えたし、10〜20代の若い年代が一気に増えた。10年でんぱをやってきて、オタクも我々も一緒にそのまま10才歳を取っているから(笑)、30〜40代がこの数年のでんぱのメイン層だったのが、一気に若返って、すごく未来があると思えた。やっぱりコンテンツは、若いファンたちがどんどんはいってくるっていうのがとても素敵なことだと思っているので。
Yumiko : お客さんからしてみれば、自分たちが好きだったものが終焉を迎えて、新しい時代に移り変わっていく様は決して心地良いものではないと思うので、どんな反応も理解したいと思いつつ。だけど私自身は、変わっていくこと自体に価値を感じていて、いつだってそれについて描いてきた。以前はメンバーもその変化のジェットコースターを理解して楽しんでいたし、通り過ぎてく風によって今を生きている実感を得ていたと思う。それがいつからか「でんぱ組」でいることを求められるようになって、混乱していたように思います。だから個人的には今回の変化はものすごくウェルカムで。それが本来のでんぱ組のアイデンティティだから。
もふくちゃん : 同じだったことないよね(笑)。
Yumiko : 最初はそういうスタートダッシュを作ったと思う。だから、変化させることに対して何の不安も不思議もなかった。お客さんに対しても、「ね、おもしろかったでしょ?」ってくらいの感じだった(笑)。それくらい肯定的に捉えてくださっている方が多かったように思います。
YGQ : やっぱり今まででんぱ組って、ねむ(夢眠ねむ)・もががいた6人の時がいちばんだったと思う方もいますし、その前のみぅちゃん(跡部みぅ)時代が最高だったと思う人もいます。それぞれ思いいれのあるでんぱ組があっていいと思います。
もふくちゃん : あかり(小和田あかり)とみりんちゃん時代を忘れないで。
YGQ : 新体制になったからといって、別に過去を上塗りしているわけではなくて。全部が大事な歴史であって、過去が好きな人はそれを大事にしたらいい。でも、僕らは似たようなものを維持するよりは、常に一番おもしろいと思えるコンテンツを作りたい。それをおもしろいと思ってくれた人が新しくファンになってくれたり、過去も好きだったけど今回もおもしろいからまた応援しようと思ってもらったり、そういう風に循環していくのがすごく健全なんじゃないかな。
Yumiko : 今いるメンツでできることを考える、そういう遊びだと思っています。
もふくちゃん : そうだね。その時生きている人で(笑)。
Yumiko : 変化=移動距離が伸びることによって、かつて自分たちがいた場所を認識できる。それがすごく必要。それが今一緒にいるメンバーを大事にすることに繋がると思う。
今までやれなかったことをやりたい、という楽しみ
──そして、3月には公開リハーサルが予定されていますが、これは一体何をするんですか?
Yumiko : まだ決まってないんですよ〜(笑)。
もふくちゃん : それはさすがに決めてよ(笑)。本当は私たちは新曲の振りいれを見せるつもりでした。そこで新曲を初披露しちゃうぐらい、隠さずにやっていいかな、って。
Yumiko : でんぱは稽古の形がちょっと特殊で、その作業を言葉にするのが難しい、だったらまるまる垂れ流しちゃったらどうかな、って(笑)。たまに「今日は振り入れをします」ってスタジオにはいって、全然ダンスと関係ないことをやっていたりするんですよ。もちろんそれも振りいれの一環で。「ここのシーンを理解してほしいから、この漫画のここ読んで」とか、必要ならなんでもする。だからもしかしたらお客さんが公開リハーサルにきてくれて、目の前で繰り広げられているのは、メンバー全員が床に寝転がって漫画を読んでいる様かもしれない(笑)。一応振りいれは想定しているけど、みなさんが思うような時間になるかはわからないです、という意味での何をするかわからない。
──そうなると、新しいでんぱ組.incをどう変化させていきたいと思いますか?
YGQ : こういう方向性でやりたいという大きな道標は見えているけど、やりながらいろいろなことが起きたり、見えてくるものがある。完全に決め切ってやるより、ある程度流動的にやりながらどんどん軸を合わせていく感じになるんじゃないですかね。今の期間は、じゃあ武道館とか、東京ドームとか、競争をするように大きな数字を目指すっていうフェーズでもない気がします。
Yumiko : 私個人的にはできるだけ遠くに行きたいです(笑)。スピードをあげて、ジェットコースターをして、チームみんなにこの瞬間を楽しんでいてもらいたい。
──遠くというのは物理的なものですか、それとも概念的な意味ですか?
Yumiko : 概念的に。それがきっと物理的なものにも繋がると思う。例えばカルチャーの話で考えたらいろんな所に呼んでもらえるようになるのは物理的な距離だと思うし。お客さんに純度の高い楽しいが浸透してくのだってそうかもしれない。
もふくちゃん : 新体制になってから、今度はこういうおべべを着せてみたいとか、こういう楽曲を歌わせてみたいとか、そういうクリエイティブで細かくやりたいことは一気に広がった。逆に言うと、今まで「でんぱ組はこうしなきゃ」みたいなイメージがけっこうずっと苦しくて。戻れも進めもしないって漠然と感じている時期もあって。今はそこからちょっと解放されて、今までやれなかったことをやりたい、という楽しみはあるかな。「でんぱらしくない」みたいなことはどんどんやっていきたい(笑)。
YGQ : もともとの始まりはなんでもアリなところから始まったんだし、それでどんどんおもしろいコンテンツになっていって。ある時期から「でんぱ組とはこうあるべき」「これをやったらでんぱ組じゃない」みたいな見えないものに囚われていたところもあるのかなって。
もふくちゃん : Yumikoがいちばん囚われていないから救われている(笑)。
Yumiko : 確かに私は、でんぱの最初の5年くらいは、クリエイティブな面ではかなり密に一緒にいて。ねもぺろがはいるくらいにちょっと手伝ってほしいという要請があって数か月くらい戻っていた時があるけど、基本的にはそれ以外は全くでんぱ組に触っていない、というか振付をおろすだけの作業をしていた時間が長くて。私自身は、変化というものが今の証明に繋がると思ってすごく大切にしているので、チームみんなの覚悟を確認して「だったら私やれるよ」って戻ってきた感じ。
もふくちゃん : 意外とYumikoが優しいところは、すごい変化をさせる割に、飲み込みやすい形に調理してくれるところ(笑)。意外にも受け止めてくれるお客さんが多かったのは、最終的にYumiko先生がそういう味付けに調整してくれていた。
Yumiko : これまでのでんぱ組を愛してくれた方々に寄り添いたい気持ちもあるので、その方々のお口に合うように出来る限りのチャレンジはしたい。だけどしっかり変身します(笑)。腹をくくった私たちだからこそできることを一生懸命お客様に届けられればいいなと思います!
DISCOGRAPHY
他全楽曲は こちら
INFORMATION
<でんぱ組.inc 公開ダンスリハーサル>
会場:代官山・B1FLAT
(FC会員のみ観覧可能)
公演日時:
①3月24日(水) Open 15:00 / Start 15:30
②3月24日(水) Open 17:30 / Start 18:00
③3月25日(木) Open 15:00 / Start 15:30
④3月25日(木) Open 17:30 / Start 18:00
⑤3月26日(金) Open 15:00 / Start 15:30
⑥3月26日(金) Open 17:30 / Start 18:00
⑦3月27日(土) Open 11:30 / Start 12:00
⑧3月27日(土) Open 14:00 / Start 14:30
⑨3月27日(土) Open 16:30 / Start 17:00
⑩3月28日(日) Open 11:30 / Start 12:00
⑪3月28日(日) Open 14:00 / Start 14:30
⑫3月28日(日) Open 16:30 / Start 17:00
出演:でんぱ組.inc
※古川未鈴は出産を控えているため、基本的には参加を予定しておりません。
見学等で出席する場合がございます。
≪一般発売≫
一般発売の予定はございません。
*注意事項、新型コロナウイルス感染拡大防止のご協力のお願い等詳しい詳細は、でんぱ組.incオフィシャルHPをご確認ください。
PROFILE
2007年にオープンしたライブ&バー「秋葉原ディアステージ」で働く、アニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクのメンバーを中心に結成。「萌えキュンソングを世界にお届け」のキャッチフレーズで、秋葉原を中心に2010年頃より活動を本格始動。数々のメンバーチェンジを経て現在は古川未鈴、相沢梨紗、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪、愛川こずえ、天沢璃人、小鳩りあ、空野青空、高咲陽菜の10人組ユニット。
アイドルとしては異例の東京コレクションでMIKIOSAKABEとのコラボレーション・ライブ出演や、ロシアでの村上隆個展でのオープニングアクト、蜷川美花作品へのモデル出演をはじめとして、様々なクリエイターとのコラボレーションを活発に展開し、国内のみならず海外からも注目を集め、台北やジャカルタでのファッションイベントにも参加。2013年にはJAPAN EXPOに日本代表として出演。2014年度は東アジア文化都市2014横浜親善大使を務めた。2015年はワールドツアーも敢行。MTV「ワールド・ワイド・アクト賞」の日本部門「ベスト・ジャパン・アクト」のウィナーに。今までに日本武道館や代々木第一体育館、幕張メッセなどアリーナクラスのライブも長年に渡って行なってきた。 2020年にはコロナ禍の中、SNS上での呼びかけに応じたクリエイターがたった8日間で作詞・作曲・編曲・演奏・MV制作までを行った「なんと!世界公認 引きこもり」を発表し、前向きなメッセージをファンに届けた。2021年11月16日には、でんぱ組.incの代表曲「Future Diver」リリース10周年をむかえる。