でんぱ組.incって、最高! ──相沢梨紗 × ゆっきゅん「好感Daybook♡」対談
自己肯定感を歌った配信シングル「好感Daybook♡」を12月17日にリリースしたでんぱ組.inc。今回はメンバーからりさちーこと相沢梨紗と、「好感Daybook♡」の作詞を担当したアイドル・ユニット「電影と少年CQ」のメンバーでもありソロでも活動中のゆっきゅんとの対談をお届けします!
INTERVIEW : 相沢梨紗、ゆっきゅん
でんぱ組.incの2か月連続配信リリースの第1弾「好感Daybook♡」の作詞は、電影と少年CQで活動し、ソロでも「DIVA ME」をリリースして話題を呼んだゆっきゅん。そして、ゆっきゅんはでんぱ組incの長年のファンでもあり、今回はでんぱ組incのプロデューサーであるもふくちゃんの目に「DIVA ME」が留まり、作詞が依頼されたという。今回、でんぱ組incの相沢梨紗とゆっきゅんとの対談を行ったところ、でんぱ組incが10年以上の長きにわたって活動できたのは、クリエイターとの関係も大きかったと相沢梨紗は振り返る。そして、彼女が今考える「新章」と「最終回」とは?
インタヴュー : 宗像明将
撮影 : 稲垣謙一
カルチャーの中心にいるような存在として、すごく憧れました
──おふたりはいつ頃から知り合いだったんですか?
相沢 : お互いのことを知っていた期間は、めちゃくちゃ長いですよ。
ゆっきゅん : 私は長いですよ(笑)。
相沢 : もともとでんぱ組incのことがすごい好きと言ってくれて、ゆっきゅんが学園祭で「W.W.D」を1人6役で踊ってくれたのを見て知ってたんですよ。
ゆっきゅん : 動画を上げたのは2014年だと思います、その年に上京したんです。
相沢 : 7年!?(笑)それくらいからお互いに認識はあって。ただ、こうやってお仕事を一緒にすることはずっとなくて。でも、ねむちゃん(夢眠ねむ)と私がお買い物をして、たまたまその帰り道に実はゆっきゅんに会って。
ゆっきゅん : 大学院1年生の秋にねむさんが卒業発表されて、少したったぐらいの時に、授業に遅れかけながらエスカレーターでサンドイッチを食べてたら、向こうから2人が降りてきて。「あー!」と思ったら、りさちーさんが「ゆっきゅん!」って。そしたら2人が、踊り場に移動してくださって話す感じになって。私はねむさんがいる間にでんぱ組と共演するのが、それまでの活動のひとつの目標だったので、当時「間に合わなかったなー」と悔しく思っていて、そのことや、何年も抱えていた尊敬の思いとか感謝とか、いろんなことを全部話して。20分くらい泣きながら(笑)。
相沢 : うちらはちょっと感動しちゃって。自分達もいろんなことを考えている時期だったから、逆に実はすごいファンのみんなのことを心配してたんですよ。
ゆっきゅん : その時、もう本屋(夢眠書店)をやることも言われてて、私はZINEとかいろいろ作ってたから、ねむさんに「それを置かせてよ」って言われて「はっ?」ってなって(笑)。「自分が本屋をオープンする時までにつまんなくなってなかったらね」って言われて、「それは大丈夫です。私はよくなっていくだけなので安心してください」って言って。それで、こうなってるんですけど(夢眠書店の出版レーベル「夢眠舎」から創刊された水野しず・ゆっきゅん編集長の雑誌「imaginary」を指しながら)。
──ゆっきゅんさんが1人6役で「W.W.D」をやるほどでんぱ組incが好きだった理由ってなんだったんですか?
ゆっきゅん : 岡山県の田舎で中学2年生ぐらいのときからアイドルをすごい好きになって。そのなかで初めて自分の方を向いて歌ってくれたような気がしたんだと思うんです。「W.W.D」にもすごく救われた部分があって。あと、アイドルだけではなくて、いろんな同時代のカルチャーに興味があったので、そのカルチャーの中心にいるような存在として、すごく憧れましたね。
──という思いを、相沢さんたちに会ったときは話したんですか?
ゆっきゅん : いや、そんな冷静なことは(笑)。
──その状態から、ゆっきゅんさんがでんぱ組incの「好感Daybook♡」の作詞を担当して、さらに「imaginary」を創刊するなんて、夢みたいですね。
ゆっきゅん : よく頑張りました(笑)。あんまりそう考えないようにしてたんですけど、すごいですね。ありがたいことですね。
「わかり手が書いてくれてる」っていう安心感はありますね
──今回、ゆっきゅんさんが作詞をするというのは、どこから出たアイデアだったんですか?
ゆっきゅん : もふくちゃんからです。「DIVA ME」っていう曲を出して、宣伝も完全に1人でやっているので、聴いてほしい人にDMを送るしかなくて、もふくちゃんに送ったら「もちろん聴きました。作詞の才能がすごいので、今度何かお願いします」って即レスがきて、「本気で言ってるのかな? 本気じゃない時に言わないか」と思ってたら、その1、2か月後ぐらいですかね、「一緒にお茶しませんか」って言われて、それに行ったらこの依頼でした。
──そう言われた時はどうでした?
ゆっきゅん : ……驚きました。「凪ちゃんのソロの作詞とか…かな?」みたいに思ったら、「忙しい? でんぱの作詞してほしいんだけど」って言われて、即引き受けました。もふくちゃんって早いなと思いますね。だって、1曲しか出してないのに。いや、カップリング(「DIVA ME」のカップリングの「片想いフラペチーノ」は2016年に作られた楽曲)もあるんですけど、でも「あの1曲で才能を確信したみたいな」感じで、すごく褒めてくれた。
──作詞にあたって、相沢さんたちメンバーと話すことはあったんですか?
ゆっきゅん : 全然してないですよね。
相沢 : 逆にこの曲があったことで、私たちも会えるきっかけになったぐらいだから。誰かをピックアップしちゃうと、ピックアップされなかった人だけじゃなくて、ピックアップされた人も困っちゃったりして、目標にしてくれた人のでんぱ組を壊したくないという気持ちもあって怖くて。でも、この曲ができて、やっと話ができるきっかけになって、すごいパワーをもらって。ラジオでお話しした時も、「なんか元気になりました!」って私は帰って(笑)。「わかり手が書いてくれてる」っていう安心感はありますね。
──ゆっきゅんさんは、大好きなででんぱ組incの作詞をすることになって苦悩しませんでしたか?
ゆっきゅん : めっちゃ書けなくて(笑)。でも、「大好きなでんぱ組に書く」みたいなことは、できるだけ考えないようにしました。「マジでありがとう」みたいな気持ちでいると、あんまり自分の創作に集中できないって思って、「この曲のことを考える」っていう感じでしたね。作詞の経験もあんまりないし、私は朗らかな曲を歌わなくて、ギラついたディスコみたいな曲ばっかりなので、挑戦っていう感じでしたね。
──歌詞を読んだ時の相沢さんの感想はどんなものでしたか?
相沢 : すごい癒されたんですよ。でんぱ組.incって、無意識かもしれないけど、自分たちのことを歌い続けなければいけないっていう気負いとか責任感みたいなものがあって。「好感Daybook♡」がそうじゃないっていうことじゃなくて、深読みできる行間がすごくあって素敵で。歌詞は私たちが咀嚼しないといけないって追われてる感じが常にあるんですけど、この曲に関しては、家の中にいる時の愛しい瞬間って確かにあるって思うし、「忘れかけてたけど、あ、そうだよね」みたいな。日常の中の瞬間にしかない感覚がすごい詰まってて。そういえば「私って最高」って言ってなかったな、みたいな。自分を褒めることってぺろりん(鹿目凜)はよくやってるけど(笑)、私はちょっと下手で、でもこの曲の時だけはできるから、ライヴ中にすごくリラックスして歌える曲のひとつですね。
──ゆっきゅんさんは感慨深げな表情になってますね。
ゆっきゅん : ありがとうございます。聴いてもらうファンの方はもちろん、でんぱ組のメンバーさんに歌って元気を出してほしくて書いているところはすごくあったので、伝わっているんだなあと思えて嬉しいです。
相沢 : なんか「今日も生きててえらい」みたいな言葉って、SNSで見るじゃないですか。でも、私はなんかすんなり受けいれられなくて。その意味合いに近いものを、すごく優しくポップに可愛い感じで書いてくれたから、なんかすっと入ったんだと思います。あんまりいい言葉で言われても、私、天邪鬼なんで入ってこないんですよ、もっと軽いノリの感じだったのがよかったのかもしれない。
ゆっきゅん : ありがとうございます。そういえば、この間、話したノートを持ってきたんです。
──手書きのノートですね。作詞用にまるごと1冊使ってるんですか?
ゆっきゅん : いや、最初の6ページだけです。いろいろうまくできなかった地味なエピソードの候補を書いていて、日常的なことから気づいたもの、思いついたものですね。「Googleストリートビューで遊園地行きます」とか「風呂に入るのえらい」とか。