【真っ白なキャンバス連載】「ファンのみんなが自信をつけさせてくれた」──小野寺梓の目に映る、これからの未来
アイドル・グループ、真っ白なキャンバス(通称、白キャン)のメンバー個別インタヴュー企画「真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL」。グループとして、そしてメンバー個人としても大きな変化の中にいる彼女たちの素直な気持ちに迫ったこの連載。最終回の第5弾となる今回は、小野寺梓が登場。いま、抱いている正直な想いを、本当に素直に語ってもらいました。
最新アルバム『共創』発売中!!
真っ白なキャンバス Road to Be the IDOL、これまでの記事はこちら
INTERVIEW : 小野寺梓 (真っ白なキャンバス)
インタヴュー&文 : 宗像 明将
写真 : YURIE PEPE
2017年に結成され、2020年にはメジャー・デビューを果たし、Zepp DiverCity(TOKYO)での3周年公演も成功させた真っ白なキャンバス(以下、白キャン)。唯一、結成時からのオリジナル・メンバーとして在籍する小野寺梓は、6月初旬、激しい情緒の揺れに襲われていた。この日は、取材中に3回も泣きだしたほどだ。学校生活や地域コミュニティになじめずに引きこもり続けた東北時代を経て、現在はアイドルとして白キャンという「居場所」を手にし、さらにTikTokでは100万回再生を超える動画もある人気ぶりだ。オーディションには唯一前向きなメンバーだが、彼女の胸の内では、白キャンのライバルであり仲間として結成される新グループへの不安が渦まいていた。
梓はアポロになろうと思って
小野寺梓(以下、小野寺):梓のインタビュー、一番需要ないと思うんです。
──なんでいきなりそういうことを言うんですか。
小野寺 : 梓は気持ちを伝える場面が多いから。「MARQUEE」で連載もやってるし、Instagramでも長文を書いたりするし、配信もしてるし(笑)。
──需要のあるなしに関わらず、今日は唯一のオリジナル・メンバーである小野寺さんに話を聞きたいんです。新メンバーのオーディションの告知動画で、白キャンに入って「少しだけ自分を肯定できるようになりました」と言っていましたね。アイドルになるまで、東北にいた時代のつらい思い出は、白キャンでだいぶ癒せましたか?
小野寺 : はい。本当に思い出せないことが出てきて、記憶が欠損してる(笑)。地元にバレたりしてないのかなって思って、学校の人の名前を検索してみようかなと思ったけど、名前が思い出せなくて(笑)。
──白キャンに入って一番変わったことはなんだと思いますか?
小野寺 : 自信……でも、まだ自信がないほうがかわいくないですか?
──そういうのはいいから。
小野寺 : でも、「ここにいていいんだな」みたいな感覚とか「自分はこうでいいんだな」とかそういう感覚?(笑)
──照れくさそうだけど、いい話じゃないですか。今回、新メンバーのオーディションと聞いて、どう思いましたか?
小野寺 : 全然前向きでした。正直、グループとして自信がない。今、魅力的なグループになれてるんだろうかって、ずっと自信がなかったから。もっといいグループにしたいし、売れたいし。だから「ぜひ」って感じ。
──オーディションに対して、メンバーが必ずしもポジティヴではなかったことに関してはどう感じました?
小野寺 : みんな不安なのかなって。梓は初期メンバーで、もうここが居場所だって思えてるけど、(浜辺)ゆりなは「いていいんだろうか」って言ってて。梓は新メンバーが入って白キャンが良くなってほしいと考えるけど、みんなはそれによって自分の立場がなくなるんじゃないかとか考えちゃってると思うから。
──メンバーになんて言いましたか?
小野寺 : オーディションがメンバーに伝えられた日は、先に(西野)千明と(三浦)菜々子ちゃんは帰っちゃったんだけど、みおち(橋本美桜)とゆりなちゃんとは駅で1時間ぐらい話してました。「白キャンが強化されるならいいんじゃない?」みたいな感じで言ったけど、みおちは新メンバーが入ることによって、いろんな負担かかったりするから。振りをめっちゃ教えたりとか関係値とかは私ががんばるから、みおちに「無理しなくていいよ」って言いました。ゆりなちゃんは「白キャンになじんでるか」みたいな不安を感じてたから、逆に新メンバーが入ることによって「新メンバー」じゃなくなって、より「白キャン」ってなると思うから、逆にいいんじゃないか、みたいなことは言いました。
──先輩ならでは、という感じがしますね。小野寺さんは、新メンバーには、歌がうまい人と、自分のことが好きな「梓チルドレン」が欲しいと言ってましたね。
小野寺 : 梓チルドレンっていうのはネタなので本気じゃないです(笑)。歌がうまい人っていうのは本気で、白キャンの楽曲はすごい素敵だと思うけど、歌唱力が追いついてなくて表現しきれてない気がするので、自分も今週1でボイトレしてるし、歌を強化したい気持ちがあるから、そこはもう大前提としてあって。
──マインド面ではどんな子がいいですか?
小野寺 : 歌が良ければと思っちゃうところがあるけど、うーん。生きてくなかでアイドルが第一優先の子がいいかな。梓は第一優先というか、それしかないから。普通に生きてる子達は、いい意味でいろんなやりたいことがあると思うけど……わかんない。
──投げ出さないでください(笑)。
小野寺 : 本人のためにもそのほうがいいんじゃないかな、学業でやめた子もいるし。でも、わかんない、学生の子が入るかもしれないし(笑)。
──新メンバーが入って、小野寺さんを超えるぐらいの人気メンバーになったらどう思いますか?
小野寺 : でも、プロデューサーも、そういうバンと人気が出る子がいてくれたほうが、白キャンが上に行けるから望んでて。でも、そこで梓のメンタルが……。最近思ったのは、梓はアポロになろうと思って。
──宇宙計画ですか?
小野寺 : 違います、お菓子です(笑)。新メンバーが入ってきて、みんな新商品に食いつくみたいな(笑)。でも、アポロはずっと愛されて食べられて、いつもそこにあって。だからアポロになりたいな。
──でも、小野寺さんのファンが新メンバーに「わー」っと行ったら、もう夜は大荒れツイキャス配信ですよね?
小野寺 : そうですよ!(笑)
──でも、自分がちょっと苦しんでも、グループ全体がプラスになればいいって割り切ってますね。
小野寺 : 梓は白キャンを作ってきたと思ってるから、最初から作ってきたものを大きくしたいって気持ち。歴が長くなると、そういう気持ちになる。だからしょうがない、他のメンバーのみんなが悪いわけじゃない。
──そもそも、小野寺さんが考える白キャンの魅力は何だと思いますか?
小野寺 : 生きるのが難しい人たちが、歌を歌って、そういう人たちと「一緒に強くなっていこうね」みたいなグループ。