まず、高木浩光さんについて。俺は散々彼の批判を行なっているが、基本的には彼を尊敬している。というか俺がセキュリティ批評に本腰を入れ出したのは言うまでもなく彼の影響だし、実際イベントでも何度も会っておしゃべりしている。
しかし彼の行動があまりにも度を越していたので、後輩としてそれはちょっと違うよと言った次第だ。実際、あのブログ記事を書いたあとに飲みに行ってるので、特に仲が悪いとかいうわけではない。
そして、そういう事情を知らない奴らがネットでゴチャゴチャ言うのにうんざりしている。お前らはネットに全ての事実が書かれていると思ってるのだろうが、そんなわけはない。それぐらい分かれ。実際、面白いことはほとんどリアルで起こっている。
とにかく、ネットの外野連中のせいで俺と高木さんの仲がこじれてしまった。全く遺憾である。
お前らは高木さんがセキュリティの世界でいかに第一人者なのかを理解していない。彼に比べれば俺なんて金魚のフンだ。とにかく、俺が彼を尊敬しているということは声を大にして言っておく。
ところで、なぜ俺が最近セキュリティに傾倒しているかについて説明しよう。もともと俺はクリエイティブなことが好きだった。というか活動初期の頃はメディアアートまがいのことをやっていた。そして、徐々に作品でインタラクティブなことをやるんではなくて実用的ソフトウェアでインタラクティブなことをやることに目覚めていった。
しかし、そろそろそれも潮時かなと思ってきた。というのは、世の中的にプログラマーが増えすぎたというのがある。日本だけじゃなく世界中で、ギークに憧れる少年が増えている。そしてスマートフォンのアプリは指数関数的に増えていってる。もはや、飽和状態だ。今必要なのは、「創ること」ではなく「批評」だ。
コンピュータにおける批評行為というのは、セキュリティのことだ。映画なら映画評論、音楽なら音楽評論とあるが、コンピュータにおいてはセキュリティこそが批評なんだ。だからこそ俺はセキュリティの啓蒙に力を入れるようになった。そして、それを10年以上まえからやっている高木さんの先見の明には全く頭が下がる。俺の何歩も先を行っている。いつかあの足跡に辿り着きたい。