Inc.:熱、寒気、嘔吐、頭痛、意識障害などの症状を呈し、しばしば死に至ることも――これは、世界で年間2億人が感染しているマラリアの病状です。リスクへの暴露を減らす、つまり蚊に刺されないようにするという予防手段は、一定の効果をあげていますが、究極的な解決策であるワクチンは、何十年にもわたって難題のままです。長年にわたる科学的取り組みを追う『The Elusive Malaria Vaccine: Miracle or Mirage?(実現困難なマラリアワクチン:奇跡か幻か?)』という本が2009年に出ているほどです。ところが、去る2月15日、ついにその難題が解決したことを示唆する研究論文が、学術雑誌『Nature』に掲載されました。「われわれ科学者は、1970年代から、放射線照射で弱らせた感染蚊の刺咬によって免疫効果が得られることはわかっていました」と言うのは、この研究の著者Stephen