長い沈黙が、突如として破られた。 1997年、神戸市で連続児童殺傷事件を起こした 加害男性(32)が「元少年A」の名義で6月10日、手記『絶歌』(太田出版)を出版したのだ。 手記ではAが殺人願望に取りつかれて14歳で事件を起こすまでの経緯や心境が記されている。また、医療少年院を経て2004年に社会復帰して以後、時にマンガ喫茶や簡易宿泊所を転々としながら日雇いバイトや溶接工の仕事を行っていたことも明かされた。 出版前に、被害者家族への相談はなかったという。Aに殺害された土師(はせ)淳君(当時11)の父親は「メディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていましたが、私たちの思いは完全に無視されてしまいました」とコメントし、出版の中止と本の回収を求めた。 太田出版の岡聡社長は、経緯をこう説明する。 「私の所に人を介してAの原稿が持ち込まれたのは3月頭。以降、本人とやり取りしています