論点: 公的領域と私的領域との間の関係は、今日、無視することのできない危機の時局を迎えつつあるのではないか。 人間が単に存在するのではなく「実存」する存在である以上、人間の人間性を公共性の次元に還元してしまうことはできない。公共性の次元は意識されていようといまいと、有用性の論理の容赦なさによって常に駆り立てられ続けている。人間は、そこでは自らの何らかの価値を絶えず表明し続けるよう、見えざる圧迫を受け続けざるをえないのである。 これは非常に重要な論点なのではないかと思うのであるが、情報技術、ことにSNSの出現と共に、かつては私的領域から隔てられていた公的領域が無際限に拡大したことによって、人間の精神生活は、便益と同時に多大な損害を被りつつある。 かつての公的領域とは、私的領域から物理的にも精神的にも一歩を踏み出していったところに存在している、人間の活動領域の、重要ではあるが特殊な一区画に過ぎ
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