何度か論座で取り上げてきた、学術論文の著作権と専門出版社の寡占化の問題だが(例えば『著作権「過保護」が科学の発展を妨げる』)、この弊害が私の論文の作製にすら影響を及ぼすようになったので、ここで改めて取り上げたい。 科学論文での図の引用に使用料を要求 まず、何が起こったから簡単に述べる。 先月、私は、15-30年後の宇宙科学ミッションで解明すべき課題をテーマにした論文を投稿した。論文の性質上、未解明の関連現象を列記しており、その説明のために観測データの図を多くの過去論文から選んで利用している。日本の著作権法であれば「正当な引用」として許可無し使用が認められる内容だ。 ところが、これらの図の使用に対し、原論文を掲載した出版社のうちの2つ(米国WileyとオランダSpringer-Nature)が、図の使用料(1枚1万円以上)を要求してきたのである。これは科学の発展を妨害する歴史的横暴だ。本稿で