吹きさらしとなった小学校の中から窓の外を眺めた。 その景色はとても現実のものとは思えなかった。 宮城県石巻市は今回の震災の被害がもっとも大きかった街。 高台から沿岸部にかけて広く住宅地が広がっているのだが、海岸部における津波の 被害は既にメディアでの報道の通り、自分の短い言葉で説明できるものではなかった。 当時、たくさんの住人達が非難の為にこの小学校へ車で駆けつけたのだが、 時期に津波が訪れ、波に飲まれた車が激しくぶつかり合い、炎上し始めた。 燃え広がった火は校舎全体を包み込み、更には周辺の家屋の残骸まで巻き込んで 大火災になったという・・・。 無残にも焼け爛れた校舎の中は一ヶ月が経った今でも焦げ臭い匂いで充満していた。 教室に入ると天板の消えた机のフレームがそのままきれいに並んでいた。 廊下の片隅に落ちていたランドセル、下駄箱に残された運動靴。 みんな無事に非難できただろうか・・・。 一