スターシェフの登場や輸送網の発達で美食ブームは高まる一方。しかしその陰でマグロや高級和牛、フランスワインなど高級食材が思わぬ危機に ロンドンのシェフ、アンディー・ニーダムのレストラン「ザッフェラーノ」では、収穫期の10〜11月になると、白トリュフを散らしたフォアグラのリゾットに客が舌つづみを打つ。100グラムで250ポンド(約5万円)近くする白トリュフも、ニーダムの店では「今シーズンのものはいつ届くのかと、客がわざわざ尋ねてくる」ほどの人気ぶりだ。 パスタや牛ヒレ肉の上に散らしたり、ホタテの貝柱に挟んだり。芳醇な香りと味で、トリュフは世界のグルメを魅了してきた。19世紀のイタリアの音楽家で、美食家でもあったロッシーニは、トリュフを「キノコのモーツァルト」と呼んだ。「味覚だけでなく、すべての感覚に訴える。あんな食材はほかにない」と、ニーダムは言う。 だが、トリュフはじきに世界中のレストランか