第1章 問いと仮説 1.1.現状認識 われわれが今後21世紀のビジョンを描くとき、「持続可能な社会」という要素は欠かせない。そして持続可能な社会を構想するとき、森林保護や動物愛護といった自然環境を持続的ならしめる活動だけではなく、われわれ人間社会そのものを持続的ならしめる活動をも追求する必要があると考える。そのためには、現在の社会システムの延長上で小手先の対応をするだけでは十分ではない。自然環境の破壊、高齢化、金融資本の暴走、コミュニティと家族の解体、人間性の崩壊といった現代的問題は、中央集権型国家とグローバル資本主義経済という現在の社会システムでは正しく扱いきれない部分が問題化したものだと考えられるからである。よって、こうした現代的問題を解決し、持続可能な新しい社会を創造していくためには、社会システムそのものから考え直す必要がある。そして新しい社会システムは、人間一人ひとりの生活の豊か