2・26事件について矢野機・陸軍少将が書き残した「戒厳機密日誌」(中央)=東京都千代田区で2014年2月10日、武市公孝撮影 読み進めるにつれ、私は息をのんだ。 「これは……。とんでもない史料が出てきたな」 表紙には「極秘 二・二六事件ニ関スル記録」の文字。とじられた陸軍の罫紙(けいし)9枚には、反乱将校を早々に自殺させようとする戒厳司令部と、証人として身柄を確保しようとする憲兵側との攻防が生々しく記されていた。 2・26事件の「機密日誌」 陸軍の青年将校らが政府首脳を襲撃した1936年の2・26事件。その「記録」は2013年秋、千葉県習志野市の老舗酒屋の蔵で見つかった。 事件が起きた2月26日から、28日を除く3月2日までが記されている。事態収拾に奔走した憲兵司令部幹部、矢野機(はかる)・陸軍少将(当時、後に中将)が書き残した「戒厳機密日誌」だ。 日本近代史上、最大のクーデター未遂事件は