今回の世界的な金融危機の発端は、米国の住宅市場を舞台としたサブプライムローン(信用力の低い債務者向けの貸し付け)問題だ。住宅価格は上がり続けるという「住宅神話」を前提に、高リスクの借り手に対して金融機関が過剰に貸し込み、2006年後半以降の住宅バブル崩壊で不良債権化し始めた。当初2年は低利固定、3年目から高利変動という金利条件が多かったため、2年後の「金利リセット」到来とともに返済不能に陥る債務者が急増。担保価値上昇による低利借り換えを狙った借り手のもくろみはあっけなく外れた。 これだけの問題なら、日本のバブル崩壊後と同様、国内の不良債権問題として片付けることもできただろう。しかし、問題はかつてないほどグローバル化し、拡大・複雑化した。その要因となったのが「証券化」だ。サブプライムローンの大半を買い取ったウォール街の巨大銀行や証券会社は、これらを束にして証券化し、欧米はじめ世界の金融機関