「親方日の丸」という言葉がある。誰が考えたのは定かではないが、卓抜なネーミングセンスである。ちなみに中国では同じことを「鉄飯碗」という。落としても割れない鉄製の飯碗をもっていれは生涯、食いはぐれがないという意味らしい。 本書のメッセージはきわめて明解である。国営企業がどんどん整理され、鉄飯碗も次々に取り上げられている中国と同じように、日本の公務員も、もはや親方日の丸の、安パイな職業ではなくなった、ということなのだ。 著者は、市役所の職員、県庁の管理職、旧労働省のキャリア官僚などを経て、現在は公立大学の教員。いわば全レベルの公務員職を経験してきたというユニークな経歴の持ち主だ。それを生かし、本書はキャリア官僚、ノンキャリア、地方公務員と三種類に書き分けられており、公務員を十把一絡げに扱いがちな類書とは一線を画す。 読み進めてわかったのは、バブル崩壊後の景気低迷期、日本企業がそれまでの年功的処