恐れ嫌われていたジャガイモが、食事の中心的存在になるまでの旅路を追えば、このシンプルな根菜がいかにして経済や文化の形を再構築してきたかが見えてくる。 ジャガイモの歴史は、まるでジャガイモそのもののように、民間伝承に焼き込まれ、政治にすりつぶされ、数々の起源神話に揚げられてきた。だが、世界的なスターの座に上る道のりは、「飢えがあり、そこに収穫物があった」というような単純な話ではなかった。汚名、情報操作、そしてやむをえない必要性という、じっくりと調理された壮大な物語だ。 先住民の聖なる知によって、ジャガイモは瞬く間に救済手段に姿を変えた。君主や科学者、日和見する宣伝活動家は、ジャガイモを奇跡と呼んだり、危険物扱いしたり、国のシンボルとしたりした。 ただし、ジャガイモの真の台頭は、宮殿の門から遠いところで芽生えた。上流階級の人々は自分たちが救済の手を差し伸べていると考えていたが、実際にジャガイモ
