小学館は、児童向けの小型図鑑「NEO POCKET」シリーズとして、「プランクトン:クラゲ・ミジンコ・小さな水の生物」を6月25日に発売した。B6判全176ページで、「児童向け図鑑では初めて、500種類以上のプランクトンを掲載した」という。「新種発見」「光るプランクトン」といった切り口から、「プランクトンを集めに行こう」のような自由研究向けコーナーなどで構成した。 「完成までには他の図鑑では類を見ない、いくつもの試行錯誤があった」という。 3人の研究者が連絡を取り合い、約60人の知見まとめる これまで、500種類ものプランクトンを掲載した図鑑の実現は難しかったという。理由は主に、研究者が幅広い分野の研究室に在籍しており、まとまって図鑑を編さんすることが難しいことと、プランクトンの美しい写真が集まらないという2点だ。 例えば「魚図鑑」「植物図鑑」などは、1つ分野の研究者とやり取りすれば編さん
基本調味料の「酢」「醤油」「味噌」はもちろん、「漬け物」「納豆」「鰹節」「清酒」さらには「旨味調味料」もーー。微生物を巧みに使いこなし、豊かな発酵文化を築いた日本。室町時代にはすでに麴(こうじ)を造る「種麴屋」が存在し、職人技として発酵の技術は受け継がれてきた。 実は科学の視点から現代の技術で解析を進めるにつれて、そのさまざまな製造工程がいかに理にかなったものであるか、次々に明らかになっている。発酵食品を生み出した人々の英知に改めて畏敬の念を覚えつつ、このような発酵食品について科学的な側面から可能な限り簡明に解説していく。今回は、発酵食品を製造するために必須な「4つの条件」について解説します。 発酵食品の安全性とは? 一般の人々は微生物の存在を意識することなく、発酵食品を生産・消費している。納豆やヨーグルトは微生物の働きで作られることは知識として知っていても、実際に微生物を目にしたことのあ
ゴキブリ。その悪名は日本全国にとどろき、今日もどこかでスリッパで叩かれたり、殺虫スプレーを吹きかけられたりしてゴキブリが命を落としている。だが、捨てる神あれば拾う神あり。ゴキブリたちにとっての「拾う神」が、静岡県の磐田市竜洋昆虫自然観察公園にいる。当公園の職員であり、「ゴキブリスト」を名乗る柳澤静磨氏である。 ゴキブリの魅力とは何か、おススメのゴキブリは──。『愛しのゴキブリ探訪記 ゴキブリ求めて10万キロ』(ベレ出版)を上梓した柳澤氏に、話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター) ※ゴキブリの写真が多数出てくるので、虫が苦手な方はお気をつけ下さい。逆に、すべてのゴキブリの写真を見たいという方はこちらをどうぞ。 ──ゴキブリの魅力について教えてください。 柳澤静磨氏(以下、柳澤):魅力、ありすぎますね。それだけで1時間は話せますよ。 ぎゅっと濃縮して説明すると、多様性が非
完成度の高さにヤマザキ社員も驚いた! 「北海道チーズ蒸しケーキ」公式ファンブックが想定以上に好調なワケ(1/3 ページ) 山崎製パンのロングセラー商品「北海道チーズ蒸しケーキ」とコラボしたファンブックが、想定を上回る売れ行きとなっている。12月6日発売の『北海道チーズ蒸しケーキFAN BOOK』(宝島社、3080円)は、情報解禁後に初回予定数が即日完売した。宝島社は急きょ発売前重版を決定し、現在は3刷7万部を突破しているという(11月24日時点)。コラボの背景や狙いについて、山崎製パンの広報担当者と、宝島社のムック局第2編集部・原川さち枝氏に聞いた。 北海道チーズ蒸しケーキは、チーズの味や香りが楽しめるように北海道産チェダーチーズを使用しているのが特徴。独自の蒸し方により、しっとり、ふんわりとした触感を実現している。 同商品のルーツは、1990年発売の「ソフトチーズ」だ。当時、ミミの柔らか
大人でも苦手な人が多い「統計」。学校の授業や会社のプレゼンなどで、スマートに統計分析の結果を披露できれば尊敬されること間違いなし。ここでは、その基本の考え方を学ぶ。 正確な統計を取るための条件を整理する 本稿では、様々な分野で必要になった統計分析の基礎に関して学ぼう。 信頼できる統計を得るために誰でも思い付くことは、偏りのないデータをなるべく多く集めたほうがよい、ということである。 ここで、AかBどちらを支持するかというアンケートを1千人と1万人を対象に行った結果、1千人調査ではAが528人、Bが472人、1万人調査ではAが5103人、Bが4897人という結果になったとする。 この場合、「1千人調査からはAが53%、1万人調査からはAが51%なので、1千人調査からはAが有利と言えるものの、1万人調査からは微妙であると言えるだろう」と思う人達は意外と多い。 ところが「有意水準5%」という「検
そんなに簡単に生まれるわけがない…!地球外生命を諦観する生物学者たちを唸らせた「宇宙物理学者の挑戦的理論」 著者に聞く第9回(後編)…生命を創ることは難しいが、地球外生命体は存在している? 『宇宙になぜ、生命があるのか』の著者 戸谷 友則 さん 「地球外生命体が宇宙のどこかに存在する可能性は極めて高い」 戸谷友則氏(東京大学大学院理学系研究科天文学専攻教授)はインタビュー前編でそう語った。しかし、その一方で、戸谷氏は生命が発生することの難しさについても言及した。 生命が発生することは困難だが、地球外生命体は存在しているだろう。 一見すると矛盾しているような戸谷氏の主張。しかし、その矛盾を説明しうる理論を戸谷氏は導き出している。 インタビュー後編では、なぜ地球外生命体が存在すると考えられるのか、という点を中心に引き続き戸谷氏に話を聞いた。さらに、インタビューの最後には、研究を通して実現したい
気持ちのいい秋に、せっかくなら身体づくりをはじめようと考えているあなた! それなら「自転車」を活用する健康づくりはいかがでしょうか。 「応用生理学」という立場から、自転車と身体の関係を研究している名古屋市立大学の高石鉄雄先生。このたび刊行された『自転車に乗る前に読む本』の中から、身体がかわる自転車活用の極意を紹介します。今回は自転車の「ペダリング」に注目し、回転数と疲労の相関関係を見ていきたいと思います。 自転車競技者、長らくの謎とは スポーツ科学の世界には、「自転車競技の選手は、なぜエネルギー効率が良いとはいえない90〜100回転(ペダルの毎分回転数)で走るのか」という謎がありました。 なぜ、サイクリストは、軽めのギアでの高速回転の走行を好むのでしょうか。 そこで、私たちはサイクリスト(ロードバイクに乗り慣れているトライアスロン競技者を含む)と、高回転に慣れていないノンサイクリスト(一般
頭の中に数学の地図を作ろう Make a mathematical map in your head 2023.07.03 Updated by Atsushi SHIBATA on July 3, 2023, 10:16 am JST 今回紹介する書籍:『数学と文化』赤 攝也(ちくま学芸文庫、2020) 抽象化の重要性 小学生の長男の勉強を見てやっていると、算数の教材に「□×4-3-5=8」のような問題が出てきます。「穴あき算」「虫食い算」と呼ばれる計算です。この種の課題は、大人が見ると四角をx(エックス)に見立てた方程式に見えるので、数を移項して「x=」の式にすることで答えを出そうとします。 この「移項をすると符号が反転する」というのを、小学生くらいの子供に教えるのはとても大変なのですが、子供に理解してもらうには、計算を手順に分解して教えます。「最後に5を引いて8になったのだから、その
大航海時代の船乗りたちの多くは、ビタミンC不足による「壊血病」に倒れた。 当時の人々はどんな対策をとったのか? *本記事は佐藤健太郎『世界史を変えた薬』を抜粋・編集したものです。 前編「大航海時代の船乗りたちがバタバタと倒れ……世界史に見る「ビタミンC」不足の恐怖」 壊血病の対策が広まらなかった理由 壊血病の歴史を調べていて不思議なのは、その対策が知られていたにもかかわらず、なぜかそれが広く普及しなかったことだ。 もちろんビタミンCという物質はまだ見つかっていないが、これを含む食品は十分手に入った。たとえば中国では、早くも5世紀にビタミンCを含むショウガが壊血病に対して有効であることが知られており、船でその鉢植えが栽培されていた。
明治時代の哲学者にして宗教家、東洋大学の創設者でもある井上円了(えんりょう)は、「妖怪学」の創始者でもありました。哲学者はなぜ全国を旅して妖怪事象を収集し、世間の迷信を一網打尽にすることを己の使命としたのでしょうか。井上円了『妖怪学とは何か』(講談社学術文庫)の編者を務めた菊地章太氏が、その謎に迫ります! 哲学者がなぜ妖怪を? 妖怪は学問の対象になるか。 明治の世に井上円了はその実現へ向けて邁進した。 円了は越後の真宗の寺に生まれた。生家の寺を捨て、東京で哲学を教える学校を創った。僧侶となる道を放棄した身だが、かえってそれだからこそか、文明開化の時代に即応した仏教のありかたを模索した。そのうえに、妖怪学という学問を確立すべく、全国を歩きまわって妖怪の伝承を収集して等身におよぶ著述をなした。 哲学をおのが本尊とした人が、なぜ妖怪を研究対象としたのか。──それは決して余技でもなく道楽でもない。
数の世界の出来事を漫画と解説を組み合わせて紹介するという「せいすうたん 1」が日本評論社から発売されるそうだ(日本評論社公式Twitter、日本評論社)。 帯の説明によると「かずかずの個性豊かなキャラクターたちを描く今まで見たこともない数学漫画」との記述がある。これを見ると数字の擬人化を図った内容といった感じだろうか。日本評論社公式Twitterによると、配本日は4月27日となってるが、各書店サイトを見る限りは店頭に並ぶのは5月1日となっているようだ。176ページとページ数も多く、目次を見ると 第1話 サブライム数第2話 ロビンの定理第3話 ゲーベル数列第4話 シェルピンスキー数第5話 アペリー数第6話 弱い素数第7話 鈴木の定理第8話 ヴィーフェリッヒ素数第9話 ウォルステンホルム素数第10話 アンタッチャブル数第11話 素数表現多項式第12話 絵になる素数という内容となっている。ターゲ
学研ホールディングスのグループ会社である地球の歩き方(東京都品川区)は1月26日、「地球の歩き方 W27 世界のお酒図鑑」を発売した。112の国と地域で味わえる地酒や名酒、酒に関する雑学などを紹介する。 図鑑シリーズのなかでも人気のグルメシリーズは『世界のグルメ図鑑』を皮切りに、「カレー」「中華料理」「地元メシ」「お菓子」「麺」と続き、今回は「酒」をテーマにした。酒は国によって基準が異なるなど、意外と知られていないことも多いという。 同図鑑では、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、オセアニアと112の国と地域の地酒や食文化などにも触れ、現地の「乾杯」ワードや、それぞれの国で飲酒できる年齢、公共の場所での飲酒の可否なども紹介する。
これまで、特に日本では、宇宙開発は非常に明るくポジティブなイメージで捉えられてきました。私も携わった「はやぶさ」の小惑星からの帰還や、アジアで最も多い数の宇宙飛行士を輩出していることなどは、特に日本人にとって誇らしい、また日本の世界での優位を感じさせるできごとになっているのではないでしょうか。 しかし、冷静にみてみると、私たちの宇宙開発への見方がそれでいいのか、と思わせる部分がたくさん存在します。 そもそも、日本の宇宙開発が世界一なのか? 宇宙開発分野で急速に台頭する中国、あるいはインドなど、宇宙開発で新興国とみなされる(私たちがしばしばみなす)国とすら、今や日本の宇宙開発技術は追いつかれ、あるいは抜かれています。 日本では宇宙開発は平和の象徴とされていますが、そもそも日本以外では宇宙開発は軍事技術開発と表裏一体です。そして日本でも情報収集衛星や自衛隊の宇宙開発への参画など、その流れが加速
「ネイチャー」シニアエディター。元カリフォルニア大学指導教授。一九六二年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学にて博士号取得。専門は古生物学および進化生物学。一九八七年より科学雑誌「ネイチャー」の編集に参加し、現在は生物学シニアエディター。ただし、仕事のスタイルは監督というより参加者の立場に近く、羽毛恐竜や最初期の魚類など多数の古生物学的発見に貢献している。テレビやラジオなどに専門家として登場、BBC World Science Serviceという番組も制作。本書の原書“A(Very)Short History of Life on Earth”は優れた科学書に贈られる、王立協会科学図書賞(royal society science book prize 2022)を受賞した。 超圧縮 地球生物全史 絶賛の書評、続々! 売れています! 地球誕生から何十億年もの間、この星はあまりにも過酷だった。
ヨコヅナイワシ撮影成功! このニュースは、今年7月に大きな話題となりました。2000メートルより深い海に暮らす深海固有種として「ヨコヅナイワシ」が世界最大の硬骨魚類であることが報じられた瞬間でもあります。 日本の南方にある海山で生きる巨大なヨコヅナイワシ。深海生態系における食物連鎖の頂点に君臨する「トップ・プレデター」(頂点捕食者)。このヨコヅナイワシはこれまでに合計6匹しか採集に成功していないという、非常にレアな生き物です。 そこで、今回の大発見に至る経緯や研究の裏側、さらにそこから何がわかるのかを、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の藤原義弘上席研究員に聞きました。 深海2091メートルに映った魚の正体は!? 2021年10月14日、私たちの研究グループは、伊豆半島から南に400キロメートルほどの沖合にある元禄海山の近くに到着したJAMSTECの研究船「かいめい」から、
全国のドーナツ店をくまなく巡り、試食の数は年間500種以上、ドーナツをこよなく愛し探し求める「ドーナツ探求家」が存在することをご存じだろうか? テレビ出演などでも注目を呼んでいるその人の名は溝呂木一美(みぞろぎ・ひとみ)さん。研究成果のすべてが詰まった新刊『ドーナツのしあわせ 年間500種類食べる“ドーナツ探求家"の偏愛ノート』(イースト・プレス)がこの度上梓された。そこで、ドーナツについて詳しく知るべく著者インタビューを敢行した。 ―はじめに「ドーナツの探求」とは何ですか? 私の本業はイラストレーターですが、「ドーナツ探求家」なる肩書きも名乗っています。ドーナツといえば、ミスタードーナツやクリスピー・クリーム・ドーナツなどの大手ドーナツチェーンを思い浮かべる方が多いと思います。しかし、この世には他にも、専門店、ベーカリー、カフェ、コンビニ、スーパーなどなど、ドーナツを扱っているお店がたく
深海は調査が進んでおらず、海底よりも月の表面の方がわかっていることの方が多いとさえ言われる世界だ。だが、近年深海用の潜水艇などの高性能機材が開発され、深海が想像されてきたより広く複雑な世界であることが明らかになってきた。本書はその書名通りに、深海にまつわるさまざまなトピックを扱った一冊だ。 生物の話からはじまって、地球温暖化と深海の関係性、深海底ビジネスが深海に与える深刻な影響とその対抗策など、深海の実態を明らかにしている。特に、著者の専門は海洋生物学で、深海の生物を扱っている章の筆致は飛び抜けている。深海は地上と異なる常識が展開する世界だから、そこで起こる出来事の描写は信じがたいものばかり。あまり表に出ることのない世界だが、だからこそ、多くの人が楽しめるだろう。 深海に住む生物たち なぜ深海が地上と異なる常識と情景が展開するのかといえば、その大きな理由は「水圧」と「暗さ」にある。たった1
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