乗客から預かったICカード乗車券(パスモ)を、瞬時に自分のものとすり替え、残額を着服する-。4月中旬に発覚した東京メトロの男性社員(25)による不祥事が波紋を広げている。手口の大胆さに加え、同社で過去にあった同じ不正が再び繰り返されたからだ。「鉄道従業員としてあるまじき行為」と同社は陳謝し、社員を処分する方針だが、乗客の間には不信感が広がっており、信頼回復に向けた会社側の“本気度”も問われている。異常に減少した残額…「端末ミスでは」との訴えで発覚 不正行為は乗客からの問い合わせで露見した。 「パスモの残額はいつも5000円程度なのに、なぜか970円しかない」 4月15日午後5時過ぎ。学校帰りの学生らで混み始めた丸ノ内線四谷三丁目駅(東京都新宿区)の改札窓口にひとりの女性が訪れ、駅員に対しけげんそうな表情を浮かべていた。 女性客は1週間前の8日午後、霞ケ関駅から丸ノ内線に乗車、新宿三丁目駅に