今回はmihoko_nojiriさんのブログ『油断するなここは戦場だ』からご寄稿いただきました。 科学と報道の間で (ニュートリノの速度と光の速度) 新しい実験データについての新聞・テレビ報道が研究者の間の“雰囲気”を伝えていないというのは、たしかにあることなのだけど、今回ばかりは少し乖離(かいり)が大きすぎるような気がするので、久しぶりに素粒子物理の話をブログに書こうと思います。 OPERA は CERN から打ち出したニュートリノビームを、730km離れたイタリアのグランサッソという地下実験施設でで受け止める実験です。CERN から出るビームはミューオンニュートリノですが、ニュートリノ振動があるので長距離を飛ぶ間にタウニュートリノに変化し、これが測定器にあたる時にタウレプトンが出ます。この実験はそのタウレプトンを測ろうとするものです。主要な測定器はエマルジョン(写真乾板)という名古屋大