父に初めて野球場に連れていってもらったのは、小学校1年生の時だ。 まだ屋根がついてドームになる前の西武球場だった。 確か西武対近鉄戦で、誰が出ていたとか、どんな試合だったかなどまるで覚えていない。 覚えているのは父が売り子のおねえさんから買ってくれた紙コップ入りのコーラに氷が入っていて冷たくておいしかったことと、試合中に突然打ち上がる花火の音が恐くて「早く帰ろうよ」と父の袖を引っ張ったことだけだ。 父は幼い私をよく球場に連れていった。 西武球場が多かったが、神宮球場や後楽園球場の時もあった。 「野球」というスポーツのルールや、「何をするといいのか」「勝つのか、負けるのか」がわかるまでには時間がかかったが、小学校3、4年生ごろにはなんとなくわかるようになってきた。 プロ野球を見れば見るほど、気になることが増えた。 そうすると「野球にはいくつもチームがある」というところから「西武球場は西武ライ
拝啓 樋口毅宏様 樋口さんこんにちは。 Twitterをやめられていてビックリしました。 作家引退宣言をしていたと知ってさらにビックリしました。 「伊野尾さんからすると複雑な気持ちになると思うのですが、僕の新作『太陽がいっぱい』読んでみてください」 と樋口さんからDMをいただいて、感想お送りしようと思ったらアカウントがないってどういうことですか。 私、樋口さんとはDMでしかやりとりしてなかったんで、もう感想を直接お伝えする手段がないんですよ。 なので、ちょっと全体公開になってしまいますが、ここに感想を残します。 どこかで読んでくだされば幸いです。 「太陽がいっぱい」読みました。 感想の前に、少しマニアックなレスラーの話をしてもいいですか。 樋口さんはコンガ・ザ・バーバリアンって選手ご存じですか。80年代後半に新日本に来てた外国人選手なんですけど。 全日本に来ていたバディ・ランデルは? あと
「この本が売れなかったら、もうダメですよ」 いい感じに落ち着いた雰囲気の神保町の老舗喫茶店で、杉江さんはそう言った。 杉江さんは本の雑誌社の営業マンだが、何年か前から編集にも携わっている。 高野秀行さんがアフリカにある国際的には未承認の国家・ソマリランドを訪ねて体験した出来事を描くノンフィクション「謎の独立国家ソマリランド」は杉江さんが担当編集した。 自分で作るだけあってノンフィクションの本もたくさん読んでいて、杉江さんが何かしら反応する本は読んでみるとたいがい面白い。 その杉江さんが会ってすぐに「伊野尾さん、角幡さんの『漂流』読みました?」と聞いてきた。 ちょうどそのとき読んでいたところだったのでそのことを伝えると、「あ、やっぱり?いやーこれすっごい本ですよ!」と高いテンションで言ってきて、そのあとに続いたのが冒頭の一言である。 これだけ時間と労力をかけて取材して、それも読み進めるうちに
太洋社の店売(書店が仕入れる取次の商品倉庫)にはお世話になりました。 初めて神田村に行ったとき、どこの取次店もこちらを見て「本屋さん?」といぶかしげに聞いてきたのに、太洋社の方だけは「いらっしゃいませ」と挨拶してくれたことを覚えています。 太洋社店売はコミックが充実していて、出版社在庫が切れて次の重版までなかなか入ってこないものも結構在庫があったりして、ずっと助かっていました。 コミックの棚は出版社ごとに並んでて、その時その時の売れ筋コミックに常に更新されていくわけですけど、どういうわけか講談社コミックの棚にはずっと「稲中卓球部」の単行本版が全巻並んでて、もうこれ持ってく本屋っていないんじゃないかな…と思っていたのですが、「稲中」は最後まで棚に残っていました。 集英社の棚には「こち亀」も全巻揃っていました。 店売には店売の力学みたいなのがきっとあって、在庫するには在庫するだけの理由がきっと
23名が選んだお薦め本のブックフェア「中井文庫2015」が、東京・中井の伊野尾書店にて2015年9月1日(火)より開催中だ。 ユニークなのはその選者たち。参加しているのは、小説家・怪談作家として知られる平山夢明や、『1976年のアントニオ猪木』などのノンフィクション作品で知られるライターの柳澤健。作家にライターとここまでは普通だが、写真家・青山裕企や、人気プロレス団体「DDT」の竹下幸之介選手が選者として並ぶ。さらに、地元・中井のお蕎麦屋さんの店主、歯医者さん、大学教授といったちょっと意外な人物まで、総勢23名が各々のオススメ本を選出してくれている。 平山は、アメリカの無頼派作家として一部でカルト的な人気を誇るチャールズ・ブコウスキー『町でいちばんの美女』を選出。青山は『寺山修司少女詩集』を選ぶなど、それぞれ推薦者の特色が出た本が選ばれている。中には意外な人の意外な1冊もあるらしい。 選者
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