初の酒場エッセイ集『酒場っ子』でデビューした2018年から早6年。「チェアリング」という活動を生み出し、酒企画ではテレビ、新聞、雑誌、ウェブメディアに欠かせない存在となった酒場ライター・パリッコ。コロナ禍を経て、満を持して真正面から「酒場」に向き合うライフワークの酒場エッセイの決定版連載を開始する。酒場と生活と人生は、どう変わったのか。変わらないのか。記念すべき第1回は「西のホッピー通り」のとある店で。 東京都東村山市にある、西武池袋線の秋津駅と、JR新秋津駅。どちらも秋津という名前がついていながら、その距離は徒歩で5分ほど離れていて、最短ルートである商店街を、乗り換えをする人々が朝夕問わず行き来している。 そんな背景があり、両駅間には名酒場が意外なほどに多く、「西のホッピー通り」と呼ばれていたりもする。かなりローカルな情報ではあるものの、一部の酒飲みの間ではもはや常識というか、秋津新秋津