ゴオォォと音が響いた。 東北電力女川原子力発電所の心臓部、中央制御室。壁際に並んだ制御盤はボルトで床に留めてある。建屋が振動する音に、制御盤と床が共振する音が加わって、大音響となった。 昨年3月11日午後2時46分、地震発生。 女川原発は震度6弱の激震に見舞われた。原子炉は3基ある。1号機と3号機は運転中。2号機は定期検査で起動中だった。 桜庭達幸・発電部長は当時「原子炉主任技術者」。運転を監督する技術者で、2号機の起動を見守るため、制御建屋=図中(1)=の中央制御室にいた。 隣接する1、2号機の中央制御室は同じ室内にある。計12人の社員がいた。 桜庭さんは体を机の下へ潜り込ませ、少しだけ顔を出し、上方にある1号機の制御盤を見た。 原子炉の自動停止を知らせる赤色の警報ランプが点滅した。反対側の2号機のランプも点滅した。 その後も揺れは続く。 「これだけ長く揺さぶられて設備