刑事裁判で無実を主張しようとする場合ほど長期間身体拘束をされる日本の刑事司法実務の運用は、「人質司法」と呼ばれて国際的に強く批判されています。今回は、冤罪の原因にもなっているこの「人質司法」とは何なのかについて解説をしていきたいと思います。 容疑者を身体拘束する理由 そもそも、どのような理由に基づいて容疑者を身体拘束しているのでしょうか。 よくある勘違いとして、逮捕された人は罪を犯したから刑事裁判までの期間も処罰として身体拘束がなされるという考えがあります。しかし、人は刑事裁判で有罪判決を受けるまで無罪であることが推定される「無罪推定原則」(憲法31条、自由権規約14条2項)があるため、刑事裁判までの期間についてその人が有罪であって処罰しなければならないことを理由とした身体拘束はすることができません。 また、取調べのために身体拘束をするという考えも間違いです。日本には「黙秘権」(憲法38条