ジョフロワ氏は、日本酒への尊敬と挑戦について真っすぐな目線でこう語った。フランス東部、シャンパーニュ地方で代々ワインを醸造してきた一家に生まれ、自らはドン・ペリニヨンを世界に広めてきた。その責任者を務めていた頃、東洋の味覚に興味を持って訪れた京都で、忘れがたい味わいの日本酒に出合ったという。「私の新たなジャーニー(冒険)が始まったのです」と目を細める。 世界最大のブランドグループである仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンも、ドン・ペリニヨンを製造するモエ・エ・シャンドンの親会社として同氏の熱意に理解を示す。そうした後押しもあり、同氏の20年来の友人でもある建築家の隈研吾氏が白岩のために新たな蔵を設計。立山連峰を見渡せる風景と溶け合う、ガラス張りのおしゃれな空間を2021年に創り上げた。通常の蔵だと紫外線を遮断する必要があるため「ご法度」とも言えるデザインだが、そうした醸造に影響を与えかねな