【辻外記子】日本膵臓(すいぞう)学会は26日、親や子、きょうだいに膵がん患者がいる人の登録制度を始めると発表した。家族に患者がいると、膵がんになりやすいため、定期的に検査をし、早期発見につなげる。特有の遺伝子の特徴も調べ、治療法の確立も目指す。 学会の担当委員会に参加する京都大や東北大など10病院が倫理委員会の承認をへて年内にも始める。 国内で膵がんで亡くなる人は年間約2万9千人。早期発見が難しく、死亡率は非常に高い。1994年に同様の登録を始めた米国では、家族に1人患者がいると膵がんになるリスクは約5倍、3人いると32倍高くなることがわかっている。 登録した家族には、CTやMRIなどの検査を受けてもらい、早期発見に役立てる。3年をめどに、集まったデータを分析して膵がんのリスク、効果的な検査法などを調べる。 関連記事家族が乳がんの女性、遺伝子変異3割 リスク予測に期待6/3遺伝性乳が
アルコール性肝硬変が原因で肝臓移植を受けた患者のうち、2割以上が手術後に再び飲酒を始め、うち7割近くが再び血液検査などで肝臓に障害が表れるほどの飲酒量だったことが、日本肝移植研究会の調査で分かった。 国内での大規模な調査は初めて。 調査は、1997年11月~2011年12月にアルコール性肝硬変が原因で肝臓移植を受けた37医療機関の患者のうち、退院できずに亡くなった人などを除く140人を分析した。その結果、32人(男性23人、女性9人)が移植後に再び飲酒を始め、うち21人(男性14人、女性7人)が血液検査などで肝臓に障害が表れていた。飲酒を始める時期は移植後1か月~1年半に多く、中でも半年後が最多だった。肝臓に障害を来すほど飲酒した人の生存率は5年で下がり始め、10年では飲酒していない人の3分の1以下だった。 調査した東京女子医大消化器外科の江川裕人教授によると、移植前に患者は「再飲酒しない
【中村通子】特効薬のバンコマイシンすら効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が、ポルトガルで見つかった。米国以外で確認されたのは初めて。専門家は監視体制を取るよう呼びかけている。英医学誌ランセットが電子版で速報した。 報告によると、バンコマイシン高度耐性のMRSA(略称VRSA)が見つかったのは、ポルトガルに住む74歳の女性。重い糖尿病で足指が腐ったため、今年5月に切除。術後、傷にたまった膿(うみ)からVRSAが出た。ほとんど全ての抗菌薬に高度耐性だった。 病院側は院内感染対策を強化すると同時に、抗菌薬に頼らない傷の治療をし、患者は回復した、という。 続きを読む関連記事耐性菌のたんぱく質、構造解明 院内感染予防に期待4/8耐性菌の仕組み解明 東大チーム4/8レコメンドシステムによる自動選択最新トップニュースこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みロ
厚生労働省の審査委員会は26日、理化学研究所などが申請していたiPS細胞を使う臨床研究計画を了承した。臨床研究は失明の恐れがある「加齢黄斑変性」という目の難病が対象で、2014年夏をメドにiPS細胞を使った世界初の治療が始まる。京都大学の山中伸弥教授が人のiPS細胞を開発してから6年あまりで、同細胞を使う再生医療が実現に向けて大きく動き出した。臨床研究は理研の高橋政代プロジェクトリーダーと先端
東京電力福島第1原発事故からの避難中に双葉病院(福島県大熊町)の患者ら50人が死亡した問題で、同病院の入所者ら4人の遺族が10日、東京電力を相手取り、計約1億3千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。 双葉病院と系列の介護老人保健施設には平成23年3月の事故当時、高齢患者ら約440人が入所していたが、避難先の確保に難航。搬送、救出の遅れなどから、同月中に50人が死亡した。 代理人によると、訴訟の原告は、同4月までに死亡し「震災関連死」が認定されている60~90代の男女4人の遺族。「医療態勢が整わない中で長距離、長時間の移動を余儀なくされた。死亡との因果関係があるのは明らか」と主張し、慰謝料などの支払いを求めた。 今後、さらに数人の遺族らが追加提訴を予定している。同5月以降に死亡した患者の遺族らは、事故との因果関係を立証するハードルの高さを考慮して、政府の原子力損害賠償紛争解決セン
マダニが媒介する新たな感染症にかかり、一時は意識不明の重体となった山口県内の女性が元患者として初めて取材に応じ、「病院に運ばれた前後2週間ほどの記憶がない。自宅周辺の草取りをしていてマダニにかまれたと思うが、かまれた自覚はなく怖い」と、気づかないうちに感染した怖さなどについて話しました。 マダニが媒介するSFTS=「重症熱性血小板減少症候群」は、ことし1月国内で初めて感患者が報告され、厚生労働省がさかのぼって調査した結果、平成17年からこれまでに、九州、中国、四国の10の県で21人の感染が確認され、このうち9人が死亡しています。 ことし4月山口県岩国市の病院に入院し、この感染症と診断された県内に住む60代の女性が、元患者として初めて取材に応じました。 この中で女性は、症状について、「体のだるさと39度を超える高熱が1週間ほど続いた。携帯電話に出ないことを心配した夫から連絡を受けた近所の人が
マダニが媒介するウイルスによる感染症で、先月、山口県岩国市の病院に入院した60代の女性の体に付着していたマダニから、この感染症を引き起こすウイルスが検出されたことが分かりました。 この感染症で、ウイルスを保有するマダニが確認されたのは、国内で初めてです。 山口県岩国市の国立病院機構岩国医療センターによりますと、先月9日、山口県東部に住む60代の女性が発熱や意識障害などを訴えてセンターに入院し、国立感染症研究所などで検査した結果、女性はマダニが媒介する感染症、SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」に感染していたことが分かりました。 この女性は、呼吸不全などで、一時、集中治療室で治療を受けましたが、その後、症状は回復し、今月2日に退院したということです。 センターによりますと、この女性の腕に体長3ミリほどのマダニが付着していたため、国立感染症研究所でさらに詳しく調べた結果、このマダニは動物など
浦添も救急ヘリピンチ 着陸場退去を市が通告 Tweet 久米島から運んできた急患をドクターヘリから救急車に移すスタッフら=22日、浦添市の港川ヘリポート [画像を拡大] 港川ヘリポート [画像を拡大] 社会 2013年5月26日 09時55分(25分前に更新) 【浦添】離島を含む県内全域で救急患者を運ぶ浦添総合病院の「ドクターヘリ」が、浦添市内に着陸できなくなる可能性が出ている。現在利用している浦添市民グラウンド跡地内にある港川ヘリポートの土地所有者の市から、いずれ退去するよう通告されているからだ。市は2015年度にも、フットサル場やテニスコートを備えた多目的運動場にする計画。同ヘリポートの利用は全県の搬送件数のほぼ3分の1を占め、利用できなくなれば救急搬送に大きな影響が出そうだ。(平島夏実) 同病院のドクターヘリは県内で唯一、国と県の補助を受けた公的事業。病院側は「県内には約290カ所の
矢野忠義氏は1968年に発覚したカネミ油症の認定患者。未認定患者の掘り起こしや救済の実現を求めて長年活動を続け、現在も油症医療恒久救済対策協議会の会長を務めている。 本書は2008年に他界した、認定患者の妻トヨコさんによる「カネミが地獄を連れてきた」(87年出版)の続編に当たる。トヨコさんの著書が絶版になっているため、第一部にその内容を転載。油症発覚から、原因企業のカネミ倉庫(北九州市)などに対する民事訴訟の和解(87年)、患者が受け取った仮払金の返還問題と解決、そして被害者救済法の成立(昨年8月)に至る半世紀におよぶ苦闘の貴重な記録となっている。 (書肆侃侃房・2100円) =2013/01/27付 西日本新聞朝刊=
広島原爆で被爆し、長年被爆者の治療に当たってきた医師、丸屋博さん(88)=広島市安佐南区=が今月末、医療現場の一線から引退する。1977年に広島共立病院(同区)院長に就任してから2000人以上の被爆者を診てきたと語るが、今月5日に米寿を迎えたのを機に決断した。自らも原爆症と認定された丸屋さんは「核被害の過小評価は許せない」と訴え、今後はもう一つの顔である詩人として告発を続ける。 丸屋さんは山口県岩国市出身。旧制広島高校(現広島大)を45年春に卒業し、米軍が広島に原爆を投下した時は岡山医大(現岡山大)の学生で岩国の実家にいた。知人を捜すため2日後に広島に入り、惨状を目の当たりにした。卒業後、54年に東京で勤務医になり、岡山の病院を経て77年に広島医療生活協同組合が運営する広島共立病院の院長に就いた。93年の退任後も内科医として現場で働き、現在は名誉院長で週1回健診を担当している。 「被爆者」
患者の数が少なく、治療法も確立されていない「希少疾患」の実情を知ってもらおうという催しが東京都内で開かれ、患者たちが治療薬の開発が進まない現状に不安を訴えました。 2月の最終日は「希少疾患」について知ってもらおうと、患者団体が「世界希少・難治性疾患の日」と定めています。 28日には全国12か所で催しが開かれ、東京・丸の内では患者の家族が病気の実情を訴えました。 この中で、弟が体が動かなくなるなどさまざまな症状が出る副腎白質ジストロフィーという難病の姉は、「患者の数が200人と少なく、診断できる医師も少ない。このため診断までに時間がかかり、進行を抑える治療を受けるのが遅れて、寝たきりになってしまった」と話し、医療態勢の充実を訴えました。 また、9歳の娘が徐々に体が動かなくなるアレキサンダー病という難病の母親は、「患者の数が60人と少ないため、治療法や薬の開発がなかなか進まない。患者が少ない病
「ラ・ボルド」。仏の哲学者・精神分析医フェリックス・ガタリが勤務していたことでも知られる精神科病院だ。その特徴は、患者と医者の区別が明確でない点にある。見た目の問題だけではない。病院における様々な約束事を決めるのに、医者とスタッフと「患者」が一緒になって話すというのだ。つまり、そこにいる人たちの関係性や制度が流動的になっている。より正確に言えば、そうなるように維持されている。 だから。ラ・ボルドを写し出そうとするこの写真集では、誰が誰であるかの説明は省かれている。加えて、時の前後がわからないように編纂(へんさん)されている。最初は戸惑うが、やがては、本の中を散策することを楽しめるようになる。 そして気づく。夜とわかる写真がないことに。また、ほとんどの人が微笑(ほほえ)んでいることに。それはまるで夜の来ない楽園のようで、露出過多の白く飛んだ写真がその印象を強める。と同時に、楽園の脆(もろ)さ
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