物事を常に抽象化して論理的にとらえるコンピュータの技術史は,基本的に仮想化の歴史である。あらゆる機構が仮想化にかかわっていると言えるが,仮想化技術の範囲をコンピュータ資源管理や運用管理の技術として見たとき,起源はどこまで遡ることができるのであろうか。 CP-67/CMSが紀元 仮想マシン(Virtual Machine)の紀元が米IBM社の「Control Program-67/Cambridge Monitor System (CP-67/CMS)」にあることは,黎明期からメインフレームにかかわってきたメインフレーマの世代では広く知られた事実である(図1)。 商用機として最初に導入されたのは,米マサチューセッツ工科大学(MIT)のリンカーン研究所で,1967年4月のことだ。その年の9月には,既に数十台の端末からの同時使用が可能となっていた。CP-67/CMSが初めて動作したハードウェア