僕が生まれて初めて死を意識したのは祖父が亡くなった時だ。 それまでの僕の祖父に対するイメージは、お正月にお年玉一万円くれる気のいい爺さん位のイメージしかなかった。 後で家族に昔の話を聞くと随分と怖い人だったとのことだったが、さすがに孫である僕に対して厳しい当たり方をする人ではなかったように思う。 祖父が無くなったのは僕が小学校の高学年に入るか入らないかの頃で、かなり急激な経過であったように記憶している。 キチンと確認はしていなのだが、死因は恐らく肺炎あたりだろう。 まだ小さかった事もあって両親が気を使ったからなのか、僕が祖父の死に初めて直面したのは病院ではなく、死後時間が経ち、祖父が自宅へと帰ってからだった。 祖父の顔にかけられた布を外し、ふとなんとなく祖父の身体に触った時の衝撃は今でも忘れられない。 「冷たい・・・」 これはシンプルに恐怖だった。 たぶん、なんとなく人間に触ると温かいとい