一人鍋が家族の鍋と違うのは、第一に材料だ。 一人だとどうしても量を食べられないから、家族でやる鍋のように材料をあれやこれやと入れてしまうと、使い切れずに余してしまうことになる。 池波正太郎は、「2品か、せいぜい3品」と書いていて、これは材料を余らせないためだけではなく、それが「粋」だということでもある。 ただぼくは、2~3品ではどうしても物足りないので、不粋を承知で4~5品入れている。 鍋はもちろん、如何様にも、自分が好きな通りにやればいいのである。 それから家族の鍋の場合だと、家族みんなで食べるから、鍋には材料を一杯に入れることになる。 それはそれで、豪華な感じがしていいものなのだが、鍋は煮えばながうまいから、一人鍋の場合には、1回で食べられる量ずつを煮るのがコツとなる。 「1回に食べられる量」とは、小皿に一度に入る量のことだから、材料を煮るのは、本当に少しずつということになる。 一人鍋