(2012年8月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 政治家が納税者の愛国心に訴え始めるのは、決して良い兆候ではない。フランスのピエール・モスコビシ経済相は、先に所得税の最高税率を75%に引き上げることを決めたフランス政府の決定を擁護して、ルモンド紙に次のように語った。 「これは懲罰的な措置ではなく、愛国的な措置だ」 モスコビシ経済相いわく、金持ちはフランスの財政問題の解決に「特別な貢献」を果たすチャンスを与えられているのだという。富裕層はさぞ感謝しているに違いない。 世界各地で吹き荒れる金持ち批判 フランスは税率を近隣国よりはるかに高い水準に引き上げることで、明らかに大きな危険を冒している。しかし、オランド政権を時代遅れの社会主義者として描くのは誤っている。実際、フランスの新政府は、新しい世界的なトレンドの極端なケースだ。すなわち、欧州から米国、中国に至るまで各地で政治を変化させている