第49回、50回、第51回とサーバー刑法を紹介してきました。成立した法律では、法案提出時に懸念点とされていた部分の多くは解消されているように見えます。それでは心配する部分はまったくないのでしょうか。 それでも残る懸念点 この法律で、ウイルスを他人に被害を与える目的で作成や提供した人間以外が処罰されるようなことがあってはいけません。前回紹介した法務省「いわゆるサイバー刑法に関するQ&A」などの内容を見る限りは、そういった心配はほとんどないように思われます。しかし、払拭しきれていない部分があったのではないかと思います。 1つには、処罰対象とされるコンピュータウイルスについて、もう少し限定的に記述するべきであったのではないかと思います。ソフトウェアには非常に多種多様なものがあり、何がウイルスなのか判断が難しいケースもあります。筆者はアンチウイルスベンダーの人間ですが、ウイルスとして検出するかどう