瀬戸内海に面したこの工場には何度も足を踏み入れているが、この日は工場の通用門で体温チェック、マスク着用が必須という異例の状況。全国で新型コロナウイルスが猛威を振るう状況下では仕方ない。しかし、目の前に姿を見せた白い車体の輝きが、「コロナ鬱(うつ)」と呼ばれる不安な気持ちを一瞬忘れさせた。 3月25日、JR東海が開発するリニア中央新幹線「L0(エルゼロ)系」改良試験車の先頭車両が、山口県下松市にある日立製作所の笠戸事業所で報道公開された。SL(蒸気機関車)から新幹線まで製造してきた日立にとっても、この車両の製造は新たな歴史の1ページとなる。 運転室があるかのようなデザイン JR東海は山梨リニア実験線で超電導リニア車両の走行試験を重ねている。L0系は2002~2008年に走行した試験車両「MLX01-901」に続いて2013年に登場、2編成計14両が製造された。「営業線仕様の第1世代」と位置づ