大江健三郎が、カフカやフォークナーと並ぶ世界最大の作家と位置づけ、当時のノーベル委員会委員長が、急死しなければ、ノーベル文学賞を受けていたでしょうと語った安部公房の作品から書いてみました。 一人の教師が、昆虫採集に出かけた砂丘で、この村に来てしまったという理由だけで、理不尽にも村人たちに周りを砂で覆われた「砂の家」に監禁され、砂堀りをさせられます。 始めは脱出を試み、村人たちに抵抗するが、無理だとわかると、欺くため砂堀りに参加するようなる。 もう一人の「理不尽な扱い」をうけている「砂の女」と共に生活するうち、始めは失うことを恐れていました、安定した仕事や家庭のある生活の価値に疑問を持ち始め、「砂の家」での生活にある種の充足を感じるようになります。妻よりも、「砂の女」の方が魅力的に感じ、次々と卒業していく生徒を送り出して老いていく教師よりも、目的明確な砂堀りの方が満ち足りた生活に感じるように