(出典) 【世説新語・品藻】より 殷侯既廃。桓公語諸人曰、少時與淵源共騎竹馬、我棄去、已輒取之。故當出我下。 (書き下し) 殷侯既に廃せらる。桓公諸人に語りて曰く、少(わか)き時、淵源と與(とも)に竹馬に騎(の)るに、我棄て去れば、已(すで)に輒(すなは)ち之(これ)を取る。故(もと)より當(まさ)に我が下に出(い)づべし、と。 (語注) ○殷侯:殷浩。 ○桓公:桓温。 ○淵源:殷浩の字(あざな)。 (現代語訳) 殷浩が位を平民に落とされてから、桓温が人々に言った。「幼いとき、殷浩と竹馬に乗ったものだが、私が竹馬を棄てると、殷浩がそれを拾って乗ったものだ。もとから彼は、私の下風に立つべき人物なのだよ」 (解説) 後漢末の黄巾の乱からおよそ100年、晋の司馬炎によって三国時代に終止符が打たれ、ようやく太平の時代が訪れたかに見えました。しかし晋王朝は、王族の内乱や異民族の侵入により滅ぼされてし