玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

グレープフルーツのようなドラマ「ファイト」

2005年05月17日 | テレビ鑑賞記
「ファイト」NHK連続テレビ小説

歴代のNHK朝ドラのなかでもかなりの低視聴率だそうである。
そうだろうな、と思う。なにしろ朝ドラにしては話が重い。
ヒロインの父親は契約先の大企業とトラブルを起こし家業のバネ工場を閉鎖、母親は弟をつれて温泉場で仲居として働き一家は離れ離れに。本人も友達との関係が行き詰まり登校拒否(になるらしい)。
とても気軽に見ていられないドラマなのだ。

しかし私はこのドラマが好きである。
登場人物たちの人格造形がしっかりしている。みな少し真面目すぎ、善人すぎるような気もするがNHKのドラマなんだからこれくらいでいい。真面目な善人たちが一生懸命悩み、気を使いあったり優しい気持を見せたりする姿は見ていてつらいけれどさわやかだ。
まるで苦味のきいたグレープフルーツのような味わいのドラマである。
「僕の生きる道」以来、私は橋部敦子さんの脚本のファンである。ヒロインの本仮屋ユイカちゃんはかわいらしく演技も安心してみていられるし、脇役の俳優たちや馬さえもいい表情を見せてくれている。地方都市に住むごく平凡な女子高生と家族の、どこにでもありそうな不幸や幸せを描いてこれほどまでに充実したドラマを作り上げるスタッフの技量にひたすら感心する。派手な設定をでっちあげれば面白いドラマになるというものではないのだ。別にキムタクドラマの悪口を言うつもりはないけど。そもそも見てないし。
辛口批評やただのケチ付けが多い「2ちゃんねる」でさえも、先週の「玉子焼き踏み付け」事件の回(5月12日放送)は絶賛されていた。まあ、2ちゃんねるで好評なドラマはえてして視聴率が低いものなのだが。

このドラマについては、毎日ていねいにあらすじと感想を書いてくださっているO-yumikoさんのサイトと公式サイトyahoo ! 特設サイトを見ればすべてわかるといっていい。
毎日ちょっとだけ泣いたり笑ったりしてカタルシスを感じたい、と思う人がいたら、途中からでもぜひご覧になることをお勧めする。
いいドラマですよ。

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3 コメント

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Unknown (佐倉純)
2005-05-17 10:32:05
何気ない日常をドラマにできるのは、ひとえに脚本家ほか関係者の技量の良さですよね。

キムタクドラマなんかは、放映前に人物設定とかを新聞なんかで読みますが「ありえね~」なご都合主義な設定からスタートしますからねぇ。そりゃどんな下手な台本でもドラマになるわい!ってツッコミを入れております。

もちろん本編の視聴などいたしませんが。
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今日も泣けた (玄倉川)
2005-05-18 00:27:01
>佐倉純さん

派手な設定のドラマはとりあえず注目を集めるにはいいでしょうが、内容が無いと見終わったあとむなしさばかり残ります。

「ファイト」の場合、設定は地味ですが内容がとてもいいです。私も地方在住でヒロインや家族の境遇に身につまされるところがありついつい感情移入してしまいます。今日も泣けた。優ちゃんやさしすぎ、気を使いすぎ。見ていてもどかしくなるけど、そのうちに元気な笑顔を見せてくれることを期待して(朝ドラだからそうなるに決まってるんですが)見続けるつもりです。
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でもね。つまんない (はごいた)
2005-05-26 11:16:31
どこにその日のヤマがあるのかわからなくって、西原さんのイラストをみて、その日の「意味」がわかります。朝ドラって、それこそ洗い物をしながら見るものだから、こういうのはつらいよね。脚本もなんだか、お説教みたいだし。
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