文化調査船「ガラクタ号」 プログ版

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少子高齢化社会に必要なのは「人口集中」

2007年05月22日 21時25分16秒 | 個人的な感想とか意見
公立小中学校の統合、経費削減効果を強調へ 財政審(朝日新聞) - goo ニュース
ここ数年、市町村合併で役所の統廃合が進みました。今まで近くの役所で済ませられたことが遠くまで行かなくてはならないと不満も多くあります。小中学校も児童生徒数がピーク時の半数近くまで減り、経費削減のために統廃合を進めたいようですが、やはり遠距離になること不満が多そうです。

一方で生活環境や、医療技術・医療制度の恩恵を受け高齢化は益々進んでいます。それに伴い医療費・年金の伸びも止まるところを知らず、財政に大きな割合を占めています。その上夫婦2人だけや独居の割合も増え、行政がしなければならないサービスは増加する一方です。

これらの問題の原因は、人口増加時に広がった生活圏が人口減少時にそのまま維持されていることにあります。

人口が増加しつつある地方都市における「ドーナツ化現象」では、中心地域の人口減少と商業の衰退の悪循環をもたらしました。全年齢層がバランス良く住んでいた状況が、高年齢層は中心部に若年齢層は周縁部にと分離しました。その上少子化が加わり順に繰り返されて広がれば、人口密度の低下すなわち商業・行政サービスの効率の低下が進行することになります。これはシャッターが閉まった商店街で象徴される風景です。

最悪なのは、「ドーナツそのもの」がなくなってしまう場合です。周縁部にではなく、大都市へと労働年齢層の住民が移動していったのです。数多くの地方の自治体がこの影響を受けています。箱物・観光・開発行政で活性化を目指したものの目論み通りにならなかった場合も多く、大きな負債を抱えている自治体は数えきれません。

ドーナツ化がある程度進んでいた巨大都市東京や名古屋は、中心部の再開発に成功しました。商住がバランス良く復活したのです。地方でも再開発により復活できる可能性はないでしょうか?あるとすれば周辺にまで広がり希薄化した生活圏を再集中化することだと思います。

巨大都市の場合、企業が再開発をリードしていますが、地方の場合はやはり行政が主導するしかないでしょう。工業団地用の土地を整備して企業を誘致したり、施設を作り観光客を呼ぶという従来の発想では「地域住民」が主体ではありませんでした。むしろ「地域住民」がどれだけ満足できる地域になり、住民の増加が見込めるようになるかが重要です。

まず住環境の整備です。中心部に集合住宅や団地を造り、希薄化した生活圏を効率が良くなるように結集させます。全ての住民に対し行政サービスを公平に行うことは素晴らしい理念ですが、「居住の自由にはそれなりのコストがかかる」ことを住民には理解していただかなければなりません。憲法にも「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」とあります。広くて安価交通の便がよい住宅環境がまず必要です。ここまで用意して初めて若い世代の移住を促進することが出来るようになります。また希薄化したことで採算が取れなくなった公共交通機関の復活や、商業の活性化も視野に入ってきます。

若い世代がまとまって住むことが出来る環境があれば、企業誘致もぐっと現実的になります。人手不足の企業は幾らでもあります。私の住んでいる愛知県の西三河地域では業績好調な企業が多く、慢性的な人手不足らしいです。地域外からの若者向け・外国人労働者向けに、企業が社宅代わりにするアパートが次々に立っています。マンション建設も盛んです。こういった状況を自分たちの地域にもと考えるならば、企業誘致のために必要なものは従業員向けの「住宅環境」なのだという理解が欲しいですね。

このように行政が積極的に住宅環境を調整し続けて人口集中を維持し、労働年齢層の流失を防ぎ、世代交代が域内で安定して行われるように変えなければ、その自治体は消えていくことになるでしょう。

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