2016/10/30 22:49

アイドル・グループ構成員増殖計画vol.72ーー新生BiS プー・ルイ「私が1番の研究員なんですよ」

2014年に解散したアイドル・グループ、新生アイドル研究会・BiS。2016年9月1日〜4日に行われた合宿オーディションで選ばれたプー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールの5人のメンバーに加え、サウンド・プロデューサー松隈ケンタ、プロデューサー渡辺淳之介の布陣で再スタートを切った。11月16日には1stアルバム『Brand-new idol Society』のリリースも決定、ワンマンライヴのチケットは即完するほどの注目を集める彼女たち。OTOTOYでは新生BiSの個別インタヴューを実施。5回に渡り初インタヴューをお届けする。

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BiS / BiSBiS

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BiS-新生アイドル研究会- / BiSBiS

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INTERVIEW : プー・ルイ

3泊4日の合宿オーディションで、誰よりも孤独に、自分に対して厳しく、そして周りを引っ張っていこうと行動していたのがプー・ルイである。もともとプロデューサーの渡辺淳之介からBiSを再びはじめると連絡をもらってはじめたはずが、いつの間にかオーディションを受ける側になっており、気を抜けない状況になっていたという。審査員もニコ生視聴者も「プー・ルイが落ちることはない」と考えていたことにいち早く気づき、いかに隙を見せずBiSに合格するかを考え見事合格を勝ち取ってみせた。命がけで再びBiSをはじめようとしているプー・ルイのどこまでも本気な言葉をお届けする。

インタヴュー&文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希

ゴ・ジーラ「ダークホースになりたいです」
ペリ・ウブ「将来の夢は大和撫子」
キカ・フロント・フロンタール「世界一やばいアイドルになりたい」
アヤ・エイトプリンス「音楽の人生だったんです」

「私、受かるでしょ?」って態度を見せてたら本当に落とされたと思います

ーー合格発表でプー・ルイの名前が呼ばれたとき、堰を切ったように涙と声が出ましたよね。よく嘘泣きがうまいみたいなこと言われることがありますけど、あの涙は自然と流れてきたものなんですよね?

プー・ルイ : あれが嘘だったら大物女優になれる(笑)。

ーー(笑)。名前が呼ばれた瞬間、どんな気持ちでした?

プー・ルイ : 私の中で合格者は4～6人だなっていうのがあったんですよ。だから4人呼ばれた時点で、次名前が呼ばれない可能性があると思ったんです。これ、渡辺さんにはめられたと思って(笑)。

ーーそもそも合宿前のインタヴューでは、最初からプー・ルイはBiSにいる前提でしたからね。

プー・ルイ : いる前提だったんですけど、BiSなんで。いつも最悪な自体を考えるようになっていたので審査される予想はしていたんです。だって、宿泊者名簿にプー・ルイって書いてあったので、これはもう審査されるわって。

ーーさすがに落ちるなんてことはない、って気持ちはあったんじゃないですか?

プー・ルイ : いや、一瞬たりとも気は抜けないなと思っていました。BiSだから「プー・ルイが落ちた(笑)」みたいなのも一つのバズじゃないですか。一瞬でもプー・ルイが「私、受かるでしょ?」って態度を見せてたら本当に落とされたと思います。

ーーそういうのを想定してたからこそ…。

プー・ルイ : ずっと気を張って絶対に疲れたとか眠いとか言わないで、誰よりも完璧にあの3日間をやろうと思っていました。あの子たちは素人で受けに来てるけど、私はもともとBiSをやっていて、求められてる水準は高いので。だから絶対に他の子よりレベルが下回ったらダメだなって思いました。

ーーダイエットのために、ご飯も最初は食べてなかったですよね。

プー・ルイ : あれは渡辺さんに痩せろよって言われていて、それを真に受けてやってたら、別にそうでもなかったっていう。マラソンがあったり、踊るし、全く食べていなかったらクラクラしてきたので、2日目からサラダだけ食べましたけど。

ーーすごい根性だなと思ったんですけど、もともとあんなに根性はあった?

プー・ルイ : 無双モードになれば。ふふふ。

ーー合宿中は無双モードだった?

プー・ルイ : BiSをやっているときは、わりとそうかもしれない。崖っぷちに立たされてる時こそ、そうなるのかもしれない。

そのからくりにいち早く気づいて孤独と闘っていました

ーー他の11人のメンバーはいってみれば素人の子たちだったわけですけど、イライラしたりはしなかった?

プー・ルイ : 合格発表まではなかったですね。合格発表の後は明らかに気が抜けたのがわかったし、一気に疲れも出てきちゃっていたから。次の日がライヴなのに覚えが悪かったり時間がないのにって。そこらへんでやっとイライラし始めました。

ーーでも、あまりそういう感情は見えませんでしたよ。

プー・ルイ : 怖がるじゃないですか。私が最初からそんな態度で「さっき言ったじゃん」とか言ったら(笑)。さすがに寝れてなかったり初めてだってことはわかっていたから、あまり感情は出さないようには気をつけていました。

ーー「BiSBiS」を初めて聴いた時、プー・ルイの声がないとBiSじゃないなって思ったので、絶対に落とされることはないと思っていたんですけどね。

プー・ルイ : みんながそう思うから、プー・ルイに投票しないんですよ。そのからくりにいち早く気づいて孤独と闘っていました。私、受かるまでは誰とも仲良くする気はなかったし。

ーー他の11人はライバルって気持ちがあった?

プー・ルイ : ライバルっていうか、これから関わらない子もいる訳だから、必要以上に仲良くなったら逆に気まずいじゃないですか。

ーー3分間アピール・タイムの後、淳之介さんが涙を流した瞬間「嘘泣きだー!」って言ったじゃないですか。あれはなんだったんですか(笑)?

プー・ルイ : すぐに嘘泣きをするから、嘘泣きだって言っちゃった。うけると思って(笑)。

ーーあれ、嘘泣きだったんですか?

プー・ルイ : 私もそうなんですけど、別に嘘泣きじゃないんですよ。気持ち的には本当なんだけど、多少のパフォーマンスが入ってるよねって(笑)。「俺、嘘泣き得意だから」っていつも渡辺さんが言っているのと、ちょっとしんみりしちゃっていたので、嘘泣きだって言ったんです。

ーーメンバー5人の発表があり、すぐに練習が始まりました。どういうことを考えながら練習に臨んでいたんでしょう。

プー・ルイ : とにかく間に合わせないとって。みんな寝てないから、頭も回っていないし。

ーートータルでどれくらい睡眠はとれたんですか?

プー・ルイ : 初日が30分で、2日目が2時間いかないくらい。

ーー3日間で5、6時間くらいしか寝ておらず、ご飯もほとんど食べていない状況だったんですね。BiSって全裸で走るとかダイブするとかはピック・アップされますけど、よっぽどこっちの方が精神的にしんどいですよね。

プー・ルイ : でも、BiSでも沖縄の時とかこういうスケジュールあったので。なんかハイになるんですよね。Mなので。ふふふ。こういう状況の時の方が冴え渡ってると思います。鋭い人殺しそうな目をしている(笑)。

1番狂っちゃっている(笑)

ーーBiSが再び始まるにあたって、プー・ルイからは命がけでやるんだって気迫をひしひしと感じます。

プー・ルイ : いやー、命がけでしょう。私はBiSが大好きなので、汚したくないんですよ。だから中途半端な気持ちではできない。

ーーオリジナルBiSの思い出はかなり尊いものというか。

プー・ルイ : そうですね。BiSの思いをBiSHは連れていけないと思うんですよ。辞めていったメンバーとの約束だったり、そのストーリーを背負っているのは最初からいるプー・ルイだから。だからこそ、大きい舞台に立ちたいし、すべてを連れていきたい。

ーー横浜アリーナからの続きみたいな気持ちもある?

プー・ルイ : 気持ち的にはそうなのかもしれない。だから、もしBiSが上手くいった時に、新メンバーの子たちには「自分がすごいって」勘違いしないでほしいんですよ。それは違うよっていうのを教えられるのは私だけなのかなって。アイドルってチヤホヤされるから、どうしても勘違いしがちな部分もあるんですよ。いきなり100人の前に出てめっちゃ可愛いって言われたりしたら、調子に乗っちゃうのもわかるし、私もそうなっちゃう時もある。でもBiSは売れるかどうかわからないときに脱いだノンちゃんとかユケがいたり、りなはむだったり、泣きながら辞めたくないって言っていたワッキーとか、ユフちゃんもそうだし、最後のメンバーもいたから存在するわけで、そのすべてを連れていきたい。

ーーそこまで想っているBiSに入ったメンバーのことをどう思っているんでしょう?

プー・ルイ : まだわからないですけどね。今までのメンバーにも、この子なら大丈夫って思ったことがないかもしれない(笑)。それって、過ごした時間とか経験が積み重なって信頼とか信用につながるものだから。今でこそ、あの6人(オリジナルBiSの解散時のメンバー)でよかったよねと思うけど、思い返すと仲がよくなかった時期とか、あいつむかつくとかってこともあったから。ただ、BiSのことをすごく好きだったり考えてくれてるから、一緒にBiSになっていきたいなって気持ちはありますね。

ーー合格発表前、淳之介さんに「プー・ルイは大丈夫ですよね?」って聞いたら、俺もよくわからなくなってきたみたいなことを言ってました(笑)。

プー・ルイ : そうなんですよ! あとから聞いたら本当にそうやって言っていて、おい! と思いました(笑)。最後のメンバーを決める時に、プー・ルイをSiS側に入れる説があったらしくて。あれだけ寝ずに一緒に合宿していたら情も湧いてくるし、本当に新しいメンバーで始めた方がいいんじゃないかと私も思った瞬間はあって。自分はいない方がいいんじゃないかって。それがわからなくなっていた時に渡辺さんが松隈さんに連絡して聞いたら、「淳之介、それはさすがに違うんじゃないか」って言ってくれて私はBiSに入れたらしいので、まじで松隈さんに感謝していますね。

ーーたしかにあの時は、みんな判断能力が低下していましたからね。

プー・ルイ : みんな寝てないし、何が正解かわからなくなっていたから、冷静な松隈さんがいなかったら私いなかったかもしれないです(笑)。

ーーここまで翻弄されても、BiSと淳之介さんのことは信じている?

プー・ルイ : タートル今田さんとしゃべっていて気がついたんですけど、私が1番の研究員なんですよ。1番狂っちゃっている(笑)。2年間離れていて、気持ち的にこじらせ過ぎて「どうせ消えてしまう命なら…」に参加しなかったりもしたし(笑)。コショージが参加できないっていうのを聞いて私も参加しないって思っちゃったんです。ただ、曲を聴いたらすごくいい曲で、PVを観て泣きました。

BiS最後の6人はもうちょっとでできたんじゃないかなと思っていて

ーーBiSが特殊なのはスタッフの人たちも、研究員も、みんなが自分のことのように盛り上がってBiSをフックアップしようとすることですよね。

プー・ルイ : 狂ってましたよね(笑)。普通に考えたら変な集団なんですよ。それが自分的にすごくよかったんですよ。渡辺さんからは、いかにスタッフさんを自分のファンにできるかが絶対大事だっていうことをずっと言われていて。それをBiSでやってきたんですけどルイフロはそれじゃ通らない世界にいたんですよ。それによって1個ステージが上がれたってことはよかったんですけど、そこでの身の振り方が上手にできなかった。

ーーカンパニー松尾さんとか、今田さんとかBiSキャノンボールチームのメンバーが最初からいるもの特殊ですよね。

プー・ルイ : 終盤、今田さんがどんどんBiSに落ちていくのが面白かった(笑)。

ーー「今日の記事っていつあがるんですか?」って今田さんに聞かれましたよ(笑)。

プー・ルイ : それがすごく嬉しかったんです。BiSキャノの時とか、今田さんとの距離を感じていたので。騙し合いの企画でもあったから。でも心霊キャノンボールで再会したりして、合宿にずっとついてくれてた時に、今田さんがBiSに狂っていったのがすごい嬉しかったですね(笑)。懐かしいし、わーうれしい! って。

ーーそういうふうにBiSに関わった人が恋に落ちていくみたいなところは懐かしいですよね。とはいえ1番最初のライヴはBiS史上最強に…。

プー・ルイ : グダグダでしたね(笑)。ただ、なぜか熱量だけはあるっていう。

ーー久しぶりにBiSの曲をやって研究員が盛り上がっている光景を見て、どのようなことを思いましたか?

プー・ルイ : 懐かしいなと思いましたね。ただ、うちらを見て盛り上がっているというより、BiSという思い出に浸って盛り上がっているのを感じていたので、そのへんはわりと冷静に見ていますね。今日はいいけど、これこのままじゃダメだなって。会場が広くなった時に、絶対ダメだっていう冷静な目と、純粋に楽しいっていう目を両方持ってライヴをしていました。

ーー「BiSBiS」はBiS時代になかった曲ですが、Aメロで〈ここから始まる物語があるんだよー!〉って叫んでいましたよね。あのとき、どういう気持ちだったんでしょう。

プー・ルイ : ノっちゃいましたね。ルイフロをやっていて、そうやって感情を出していいんだってことを学んだので、それが出ちゃいました。

ーーアイドルはお客さんとともに盛り上がる、バンドやアーティストはステージ上からお客さんを引っ張っていくということを発言していましたけど、アイドルとバンドの両方を経験してみて、BiSでのライヴへの臨み方は変わったりしましたか。

プー・ルイ : 最終的には引っ張りたいなと思うし、BiS最後の6人はもうちょっとでできたんじゃないかなと思っていて。もちろん美化している部分もあるんですけど、あの後2年くらいもっともっと話し合ったりしていたら、もしかしたらそうなれたのかもしれないとずっと思っていて。でも、もうあのBiSはいないから、この5人でそこにいかないといけないなって。

ーーあの時の6人が続いていたら、アイドルの枠を超えれたかもしれない?

プー・ルイ : 1番なれた可能性があったのかもしれない。他の人とかがどう思っているかはわからないんですけど。

ーーそれを今から5人で作り上げていくと。

プー・ルイ : 途方もない道のりなんですけどね、みんな素人なので(笑)。

ーー実際始まってみてどうですか?

プー・ルイ : うける(笑)。

ーー何がうけるんですか(笑)?

プー・ルイ : 下手(笑)。

ーーあはははは。

プー・ルイ : 下手なのは練習次第で上手くなるんですけど、やる気がない子はやる気を出すのが難しいんですよ。だから、これからじゃないですか。最初、BiSHだって初ライヴはグダグダだったし。BiSほどじゃないですけど(笑)。アイドルが成長していくのも、アイドルの1個の文化なので。

武道館に立つっていうところだけ燃えなかったんですよ

ーーあと、オリジナルBiS時代、ライヴで生歌で歌うために運営と戦って勝ち取ったじゃないですか? 新生BiSは初ライヴから生歌でしたね。

プー・ルイ : あれは歌入りのトラックが用意ができなかったからなんですけど、できる限り私は生歌でやりたいんです。渡辺さんの、お金を払ってまで下手な歌を聴きたくないっていう意見もわかるんですけど、私はお金払ってまでCDを聴きたくない。下手だけど想いがこもったフレーズに泣けたりするわけじゃないですか。ペリちゃんとかはあれですけど(笑)、ゴ・ジーラはノンちゃんタイプで、八王子さんとかキカさんは歌えてるので、体力付けて訓練してヴォイトレしたら歌えるようにはなるんじゃないかなと思っています。

ーー新生BiSをどういうグループにしていきたいですか?

プー・ルイ : 新生BiSになって何をしたいですか? とか、何がしたいかわからないとか言われるんですけど、私は何かをしたいって言ったことはないなと思って。何もしたいことがないからBiSにいるんです。ただ売れたくて、売れるためにいろんなことをやって、それがBiSになった。だからやりたいっていうか、売れたい。

ーーどこまでいったら売れたと思えるんでしょうね。

プー・ルイ : 一生食えるくらい。

ーー例えば、武道館に立ったからとかっていう話じゃなくて。

プー・ルイ : 横アリは「FiNAL DANCE」で〈いつかまたこの場所で〉って歌っていて、武道館はできなかった夢としてあるので、その2つは立ちたいです。

ーーそういえば、BiSが解散した後、武道館に立つ夢を書いた紙を燃やしたっていってましたよね。

プー・ルイ : あー! 燃やしました。高橋愛ちゃんの卒コンを観た後に「何年に武道館に立つ」って誓いを立てたんですよ。でもBiSは解散してしまって立てなかったから、ルイフロで立とうと思って武道館前まで燃やしに行ったんですよ。そしたらBiSっていう言葉と武道館に立つっていうところだけ燃えなかったんですよ。変な絵とサインは燃えたんですけどね(笑)。だから怖いねって話をしていたんですけど、それで今BiSがまたはじまって。だから何かあるのかもしれないですね。

ーーまさかあの時、BiSが始まるとは思わなかったですもんね。それが今始まってるわけですから、やっぱり何かの因果があるんでしょうね。BiSに賭ける想いが現実化するといいですね。

プー・ルイ : ありがとうございます! BiSと一緒に死にましょう!

これまでのBiSの音源を復習しておこう

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BiSプロフィール

英語でBrand-new idol Society の略、日本語で新生アイドル研究会。アイドルを研究し、アイドルになろうとする、アイドルになりたい。プー・ルイ、ペリ・ウブ、アヤ・エイトプリンス、ゴ・ジーラ、キカ・フロント・フロンタールからなる5人組。11月16日に1st AL『Brand-new idol Society』リリース。

BiS Official Web