琉球独立論―琉球民族のマニフェスト [著]松島泰勝 本書は「琉球独立」を提唱するものである。たとえば、スコットランドがイギリスからの独立を求めて住民投票を行ったことに驚いた日本人が多かっただろう。なぜスコットランドが独立を望むのか、私にもよく事情が理解できない。しかし、むしろそれ以上に理解しがたいのは、琉球が日本から独立しないでいることである。 そもそも琉球は独立した王国であった。1872(明治5)年に琉球藩とされたが、他国との外交関係が残っていたし、はっきりと日本に領有されたのは、日清戦争後である。以来、琉球人は差別されてきた。太平洋戦争では、沖縄は米軍との決戦場とされ、大量の死者を生んだだけでなく、戦後も米国の統治下におかれた。その後、本土に「復帰」はしたが、米軍基地はそのまま沖縄に残された。また、日本から経済的な支援があったようにみえるが、それは琉球の伝統的な産業と自然環境を破壊し、