いやあ、面白い本だった。 スターリンの図書室:独裁者または読書家の横顔 作者:ジェフリー・ロバーツ 白水社 Amazon スターリンの印象が覆る 率直に言ってスターリンの印象が覆った。 オビに「血まみれの暴君は『本の虫』でもあった」とあるんだけど、すっごい読んでいるんだわ。本を。もちろんぼくなど足元にも及ばない。どうもトロツキーやドイッチャーのスターリン観がぼくに忍び込んでいるので、“西欧的マルクス主義の伝統があったボルシェヴィキ第一世代、官僚実務になってしまいアジア的野蛮の代表格としてのスターリン以後の世代”的な印象が強かったんだな。 でも「レーニンは西欧知識人的、スターリンはただの実務官僚」というようなイメージは、訳者のあとがきの次の指摘を読むだけでも変わる。 スターリンの伝記を書いたサイモン・セバーグ・モンティフォーリによれば、レーニンでさえ「読書量に関して言えば、おそらくスターリン