徴税権力の最高峰に君臨する国税庁。その足元で国税OBたちの暴走が始まった。脱税指南、企業との癒着、現役職員との共謀—。「天下の国税」が聞いてあきれる、異常事態が勃発していた。 マルサのプロが不正を手助け 企業や個人の脱税マネーを見つけ出して徴税する番人が、OBになったとたんに専門知識を悪用して取り締まられる側の用心棒として報酬を稼ぐ—。そんなモラルの欠片もない「不良国税OB」が後を絶たない。 自民党・金丸信元副総裁の巨額蓄財事件を暴くなど、戦後数々の大型経済事件を解明してきた職人集団・マルサ(国税局査察部)も例外ではない。 7月8日、ラブホテル経営会社の脱税を顧問税理士の立場で手助けしたとして、マルサOBで税理士の横井豊氏(65歳)が大阪地検特捜部に在宅起訴された。 横井氏は、大阪国税局査察部の主要ポストである査察総括第2課長や福岡国税局調査査察部次長などを歴任。大阪国税局管内の大型税務署