■「既成の文化からの逸脱」の戦後史 この夏から秋にかけ、10回に分けて放映された番組のタイトルがそのまま書名になっている『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』。 番組の方は劇作家の宮沢章夫が講師となり、若い俳優やタレントを相手に対話しながら各時代の実相や変化を探っていたが、こちらは、まず宮沢へのインタビューをもとに序章から第六章までを構成。その一方で、「サブカルチャーの履歴書1945-2014」と題した年表を巻末から掲載。編集者時代によく似たテーマを扱った経験がある私から見ても、実によくまとまった1冊となっている。 しかし、それ以上に好感がもてるのは、ここで取りあげている数多の人物や作品群に対する宮沢の愛情が、行間からはっきりと伝わってくるからだ。アメリカでサブカルチャーが誕生した1956年に生まれた宮沢にすれば、その歴史について語ることは同時に、自分に影響を与えてきた表現物の検証であり、