赤字ローカル線の存廃が大きな問題となっているが、すぐにトラック輸送へ転換すればいいとはいえない事情がある。なぜなら、鉄道は「有事」の際の重要なインフラでもあるからだ。 北海道新幹線の札幌延伸にあたり、函館本線はJR北海道から経営分離される。並行在来線となる区間のうち、小樽~長万部間は廃止が決定した一方で、函館~長万部間の扱いについては、まだ議論が続いている。 なぜ続いているのか。それは、旅客に期待できないものの、本州と北海道を結ぶ 「貨物列車が運行している」 ためだ。貨物列車による輸送は北海道から出荷される農産物の約3割を担っており、また、北海道へ運ばれる生活必需品も貨物列車に大きく頼っている。 貨物列車を運行するJR貨物(東京都渋谷区)では、北海道発着貨物が全収入の 「約8分の1」 を占めている。JR貨物は自社で線路を所有せず、線路使用料を払って貨物列車を運行している。そのため、国は存続