電池最大手CATLの創業者が電池を超えた野望を語った 中国の電池王が語る「トヨタが開発する全固体電池はまだ現実的ではない」 中国の電池王CATLのゼンCEOが開発を急ぐ電池とは? Photo by Paul Zinken / picture alliance / Getty Images
明治神宮の創建以来、100年以上守られてきた景色は、変わってしまうのだろうか。大規模な反対運動を引き起こし、物議を醸している東京・神宮外苑の再開発事業。仏紙「ル・モンド」の東京特派員、フィリップ・ポンスは、東京が数ある平凡な大都市の一つになりつつあると懸念する。 近代史のなかで、東京は時代への大いなる適応力を発揮してきた。その一方、過去の遺産を消し去り尽くすことで、恐ろしく似たり寄ったりな、アジアの巨大諸都市の一つにならんとしている。そしてそのことは、多くの東京都民も認識している。 神宮外苑地区の再開発計画に対して、反対運動が起こっている。明治神宮外苑の並木通りには、道路の両側にそれぞれ二列ずつ、300mにわたって樹齢100年を超えるイチョウが立ち並んでいる。再開発が進められれば、この並木にも影響が及び、神宮外苑の樹木約1000本が切り倒されることになる。 これは、2020年の東京オリンピ
強大な経済力のもと、途上国で次々と大型の開発援助プロジェクトを展開する中国。その影に隠れ、日本の国際的なプレゼンスは弱まる一方だと感じる人も多いだろう。だが、英経済誌によれば、アジア太平洋地域で「最も信頼されている援助国」は日本だという。 「最大の援助国・中国」が揺らいでいる アジア太平洋地域はダイナミックに変化しているが、開発が必要な場所はまだ膨大に残っている。 アジア開発銀行(ADB)は、2030年までの同地域の開発需要を年間1.7兆ドル(約255兆円)と見積もる。 経済の急成長に伴い、交通インフラや発電所の建設、IT分野へのニーズが特に大きい。さらにアジア太平洋地域の大部分はいまなお貧しく、教育や医療へのアクセスの悪さや失政、気候やその他の自然災害に対する脆弱性を抱えている。しかもそれは、新型コロナのパンデミック以前からの課題だった。
蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第15回を「ちくま」9月号より転載します。延々とつづく渋谷駅周辺の再開発。東横線の地下化はじめ誰も便利になったとは思っていないはずの一連の大工事は都市再開発法によると「公共の福祉に寄与することを目的とする」そうなのだが、本当に? との疑問についてお話しさせていただきます。 避けようもない暑い日ざしを顔一面に受けとめながら、タワーレコードの渋谷店で購入した海外の雑誌を手にしてスクランブル交差点にさしかかると、すんでの所で信号が赤となってしまう。階段を降りて地下の通路に向かう方法もあるにはあったが、年齢故の足元のおぼつかなさから灼熱の地上に立ったまま青信号を待つことにしていると、いきなり、かたわらから、女性の声がフランス語で響いてくる。ふと視線を向けると、「そう、シブーヤは素晴らしい」と「ウ」の部分をアクセントで強調しながら、スマホを顎のあたりにあてた外
トヨタ自動車が、次世代電池の本命とされる「全固体電池」について、早ければ2027年にEV(電気自動車)での実用化を目指す方針を発表した。投入する全固体電池を搭載したEVは10分以下の充電で約1200キロメートルを走行。トヨタはEVの分野で遅れをとっていたが、実用化すればEV市場の勢力図を変える可能性があると英紙は指摘する。 全固体電池はゲームチェンジャーとなるのか 2023年7月初旬、トヨタ株は順調に上場来高値を更新し続け、年初来から約30%の値上がりを記録した。データによれば、アナリスト17人の「買い」推奨という追い風も吹いている。 これは100年近い歴史を持つ巨大企業トヨタにとって、想定外の事態かもしれない。同社は2022年の純バッテリー電気自動車の販売台数がテスラのわずか1.8%にとどまり、2023年の第1四半期には、万能の世界的ベストセラー「カローラ」の販売台数がイーロン・マスクの
興奮していたザッカーバーグ アダム・モセリがイーロン・マスクと全面対決しなければならないと知ったのは、2022年11月、家族旅行でイタリアを訪れていたときのことだ。 ちょうど気まぐれ者のマスクがツイッター買収を仕掛けたばかりの頃だった。続く大混乱のなか、モセリが勤めるメタの上層部はチャンスを嗅ぎつけたのだ。 マーク・ザッカーバーグCEOをはじめとするメタの幹部は、ツイッターのクリエイターを自社に引き抜きたいと思っていた。メタ傘下のインスタグラムの運営を担当するモセリは、ザッカーバーグと打ち合わせをするために休暇を一時中断した。 イタリアは夜だったため、モセリは寝ている妻を起こさぬように小声で話した。会議の参加メンバーは、インスタグラムを含む既存のアプリにツイッター的な機能を追加したらどうかと話し合った。 だが、ザッカーバーグには別の考えがあった。「もっと大きく打って出たらどうだろう?」 真
膨大な地熱エネルギーを持つ、世界有数の火山国である日本。このエネルギーを利用し、安価でクリーンな電力を作れる可能性が長年語られてきたが、その開発はなかなか進まない。この問題を解決するため、新たなモデルを作り上げ、変革をもたらそうとしている日本の実業家がいる。米メディア「ブルームバーグ」がその取り組みに迫った。 地熱発電を推進する「フランチャイズモデル」 日本には地熱発電の大きな可能性がある。しかし、権力のある温泉所有者が反対しているのに加え、官僚的なハードルは高く、起伏の激しい山地での発電所建設も難しい。そのためにこの分野への投資は限られている。 このような困難に対し、スーパーマーケット王の沼田昭二(69)は「フランチャイズ」モデルを用いて立ち向かおうとしている。 沼田は、食品ビジネスを展開する「株式会社神戸物産」の創業者だ。約1000店舗の「業務スーパー」をフランチャイズ展開する同社の時
東京には再開発の波に飲み込まれず、戦後の面影を残す、雑然とした「横丁」がちらほら残っている。いまや“風前の赤ちょうちん”のところも少なくないが、そんな東京の酒場が、世界の大都市をより人情味ある場所へと変えるうえで大事な先導役になるかもしれない。英誌「エコノミスト」がその理由を紹介する。 本物の東京は最小空間にあり──世界で最も人口密度の高いこの大都市に住む者なら誰しもが知っていることだ。 日本の首都は、大きな幹線道路が大動脈の都市ではない。その“生き血”はむしろ、絡み合った細い路地から、細い建物の階段を上がり、小さい商店や狭い飲食店へと流れている。 渋谷駅のすぐそばにある、うっとりするほど挑発的な居酒屋が軒を連ねる「のんべい横丁」がそのいい例だ。 その38軒の平均面積は5平米を下回るほどしかない、と建築家で慶應大学で教えるホルヘ・アルマザンとその同僚たちによる新刊『東京の創発的アーバニズム
国内のデベロッパーである株式会社ピクセルは3月7日、作曲家・古川元亮氏に対して訴訟を提起していたことを発表した。同社はシューティングゲーム『スチームパイロッツ』の開発をめぐり、古川氏とトラブルがあったことを伝えていた。 『スチームパイロッツ』はPC向けに開発されてきた、縦スクロールのシューティングゲームだ。元コナミ所属の作曲家・古川氏および、そのマネージャー雨宮天気氏によりプロジェクトが立ち上げられた。自機としては、ハンマーやスピードバードなど、異なる武器を駆使する「七つの翼」を使い分ける。難易度としてはイージー/ノーマル/ハードの三段階が用意され、シューティング初心者から上級者まで幅広く対応するとしていた。本プロジェクトは2019年よりクラウドファンディングを開始し、二度の資金集めを実施。合計で1000万円を超える資金獲得に成功している。 同プロジェクトには、著名なクリエイターが多数参加
「預言者郷里に容れられず」とはよく言ったものだ。IT業界の“帝王”ビル・ゲイツ(65)は古き良き携帯電話で取材に応じ、自らが創設したマイクロソフト社のウェブ会議ツール「Teams(チームズ)」を使わないというのだ。 取材時の通信環境は完璧とは言えず、通話は雑音混じりだったが、幸いなことにシアトル在住のこのビリオネアの思考は明晰そのものだった。 ゲイツがインタビューで語ったのは、新型コロナウイルスがいまも人命を奪い続けていること、貧しい国への援助がスピード感に欠けていること、妊産婦死亡率の低下が想定よりも遅れてしまっていること、ジフテリア、破傷風、ポリオといった基礎的なワクチンを接種したがらない人が増えている……といったことだ。 もちろん、「ビル・ゲイツがワクチンを使って人々の身体にチップを埋め込もうとしている」という突拍子もない陰謀論が出回っていることについても、どう思っているのか本人に尋
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