《おことわり》この記事は、2004-07-02に旧『はてなダイアリー』で公開していた記事の再録です。 クルマは南部町(みなべちょう)を抜け、国道42号線を北上していた。左手側から霞がかった太平洋が傾いた陽の光を反射させ、一枚の絵はがきのような光景を見せていた。 カーステからは、ゆったりとしたテンポの「タイタニック」のサントラが流れてくる。 ──ひとつ訊くけどさ、gulちゃん(仮名)の成りたいのって、結局ナンなんよ? そうたずねてきたのは、新規林業従事者の事前研修で、同じ部屋に泊り掛けになったMさんだった。 車の所有者であるWさんが、上富田町(かみとんだちょう)の朝来(あっそ)から和歌山を経由して神戸まで帰るというので、よければという事でMさんと私がお願いをして同乗させてもらったのだ。 ──なんやさっきから聞いてたら、gulちゃんって押してくる人には弱いし、女性に対してはえらく潔癖症やし、そ