アトピー性皮膚炎のかゆみを引き起こす物質の1つ「IL-31」を作り出すのに重要な役割を果たすタンパク質を突き止めた――九州大学の研究グループが1月10日、そんな研究成果を発表した。かゆみを根元から断つ治療薬の開発につながるという。 アトピー性皮膚炎のかゆみは、ヒスタミンのほか、免疫細胞のヘルパーT細胞が作り出す「IL-31」が原因物質とされる。だが、IL-31が作られる詳しいメカニズムは分かっていなかった。 研究グループは、「DOCK8」というタンパク質が欠損した患者が、深刻なアトピー性皮膚炎を発症していることに着目。DOCK8を作れないように遺伝子操作したマウスは、そうでないマウスと比べて、IL-31が過剰に作られることが判明した。 さらに、メカニズムを詳しく調べたところ、DOCK8には、「EPAS1」というタンパク質が免疫細胞の核の中で増えるのを抑制する役割があると分かった。DOCK8