財務省の夏の人事が固まった。木下康司事務次官が退任し後任に香川俊介氏、主計局長に田中一穂氏といった布陣になった。彼らはいずれも「54年組」である。 「54年組」とは、昭和54年入省同期のこと。財務省に限らず、霞が関の官僚にとって入省年次は切っても切れない属性となる。霞が関を取材する記者が相手の入省年次を知らなかったら話にならないほど。ちなみに、各省のエリートが集まる官邸では座席表に名前のほか出身省庁名と入省年次が記載されていて、間違いが起きないように工夫されているくらいだ。 霞が関で入省年次が意味を持つのは、中央省庁のトップである次官になるのは通常は同期で1人だけ、その1人が次官になるまでに他の同期は退職するからである。 ところが、今回の財務省の人事ではこの慣行が破られた。過去にも財務省(大蔵省を含む)で同期から2人の事務次官を輩出したことはあるが、わずかに「28年組」、「49年組」くらい