かつてムラの若者たちは、相撲、綱引きなど様々な力くらべをしました。もっともポピュラーな競技が力石(ちからいし)です。重い自然石を肩や頭上まで持ち上げるもので、戦国期から近代まで日本各地で行なわれ、持ち上げた人の名前を刻んだ石もあります。この力石は、ダンベルなどと違ってつかむところがないため、腕力だけでは絶対に持ち上がらないそうです。よって石をまたいで低い腰となり、腰を伸ばすのと肩へ上げるのを一緒にするコツが大事だといわれました。これはそのまま、農作業や荷物運びなどを一人前にこなすための基本であり、近現代の労働の機械化、産業構造の高度化などで、多くの人々が失った伝統の技だったといえます。 (青森県立郷土館 小山隆秀) (写真2枚 とも昭和55年、青森市細越での力石、県立郷土館蔵) ※県立郷土館は、県内の行事や街並み、農民の暮らしぶりなどを撮影した古写真を、広く県民の提供を受けるなどして収集し