高速ツアーバスなど貸し切りバスを運転手一人で走らせる場合の走行距離の上限を「一日当たり六百七十キロ」と定めた国土交通省が、事業者と運転手に実態調査した総務省から「健康面や生理学的な面を検討していない」として、二〇一〇年に改善を勧告されていたことが分かった。群馬県藤岡市の関越自動車道で七人が死亡したバス事故を受け、国交省は上限を見直す方向で検討を始めた。 国交省は二〇〇八年の指針で、ツアーバスについて運転手一人の上限距離を二日間の平均で六百七十キロとした。 総務省の資料によれば、国交省は全国九十二の貸し切りバス事業者から提供された実際の運行データを基に、運転手一人による運転時間と走行距離だけから上限距離を計算。総務省は「労使間の取り決め、運転者や有識者の意見などは考慮されていない」と指摘し、改善を促した。国交省の指針では、日中に比べて睡魔に襲われやすい夜間の基準も設定されていなかった。 指針